2023年1月アーカイブ

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 1963(S38)から1968(S43)年までビクターから発売されたオムニバスLPに「ゴールデン・ヒット・ソング」シリーズというのがあります。1963年と言えば、フランク永井がデビューしてから8年ほど経った時で、安定した人気を得ていた時です。
 「赤ちゃんは王さまだ」という子供をターゲットにした分野に挑戦して、第5回日本レコード大賞で歌唱賞を得ています。他に「月火水木金土の歌」は第4回日本レコード大賞の作詞賞も受賞しています。「カラスの歌」「おじさんの子守唄」「ハダカの歌」「お尻を打つよ」「べんきょうはじゅらい」「ネムチェンコじいさん」「なぜ」(発売は翌年頭)と子供ものを立て続けに出した年でした。
 「ゴールデン・ヒット・ソング」シリーズは、そのころにビクターから売り出し中の人気歌手のヒット曲を「ベスト・ヒット14」としてLPに収めたものです。
 このLPは5年間で26集まで出しました。その後「流行歌ベスト・ヒット15」として、ゴールデン・ヒット・ソングのハイライト盤を出しています。
 ちなみに、このシリーズの後は「19oo年流行歌ベスト10/15」のような形で引き継がれるのですが、やがてタイトルがあいまいになりしぼんでいきます。
 当然フランク永井は毎回のように顔を出しています。収められた曲は、下記のようになります。

  LV-325 第1集 霧子のタンゴ
  SJV-32  第2集 国道18号線
  SJV-55  第3集 大阪ぐらし
  SJV-62  第4集 大阪ぐらし
  SJV-85  第5集 恋うた
  SJV-88  第6集 霧笛の道
  SJV-104 第7集 男なら
  SJV-114 第8集 アコちゃん
  SJV-130 第9集 妻を恋うる唄
  SJV-149 第10集 東京しぐれ
  SJV-161 第11集 熱海ブルース
  SJV-169 第12集 水のように
  SJV-188 第13集 君待てども
  SJV-207 第14集 女には涙がある
  SJV-220 第15集 遊侠一匹
  SJV-253 第16集 大阪ろまん
  SJV-260 第17集 みれん酒
  SJV-281 第18集 マンション・ブルース
  SJV-296 第19集 夕陽のジャマイカ
  SJV-308 第20集 生命ある限り
  SJV-319 第21集 (なし)
  SJV-337 第22集 風と二人で
  SJV-349 第23集 (なし)
  SJV-366 第24集 加茂川ブルース
  SJV-375 第25集 堂島
  SJV-404 第26集 堂島
  SJV-368 ハイライト (なし)

 その当時、フランク永井のどんな歌が売れていたのか、レコード会社としてイチ押しだったのかが、一目でおわかります。
 ジャケットは、独特の雰囲気を持っています。10号あたりから、表面と似てて異なる裏面ジャケットも配置されました。つまり、どちらも表面になるような作りになります。表裏を左右に並べると、その盤で登場する全歌手がわかるという趣向です。
 ビクターはそれだけ、売り込みに力を注いでたものと推察できます。
 第1集の盤IDが「LV」であるのは、曲がモノラル中心であったことがわかります。第2集以降はSJVで統一されています。つまり、ステレオ盤です。

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 フランク永井は都会の大人の哀愁を歌った曲が多いです。それは「都会調ムード歌謡」というジャンルを切り開いた歌手であり、その第一人者であるためと言ってよいでしょう。
 だから、海とかマドロスといった分野にはあまり縁がありません。しかし、実際はどうなんだろうと、いろいろ調べてみると、何曲かあります。
 すべての歌の歌詞を追ったわけではないので、他にもあると思いますが、ひとまずざっと見て、気づいたものをリストにしてみます。

  霧笛の町(1957:V-41675)
  哀愁の海(1058:V-41788)
  おいら船頭さん(1960:V-41993)
  夜の海岸線(1960:VS-305)
  初恋ぼんぼん/フランス航路(1960:VS-464)
  母なる港(1962:VS-836)
  波止場(1962:VS-811)
  波浮の港(1966:SV-364)
  東京波止場(1966:SV-434)

 「初恋ぼんぼん/フランス航路」は松竹映画「番頭はんと丁稚どん」シリーズの主題歌・挿入歌です。ちなみにこの映画主演の大村崑は、高齢者用のジムの宣伝で最近よく目にしますね。
 一覧してみても、どうも海洋物やマドロスものとは相当雰囲気が異なりますね。
 フランク永井活躍時の海洋、マドロスものでは、思い出すのは美空ひばりかな。「港町十三番地」は当時子供の間でも有名で、よく歌われていました。
 「憧れのハワイ航路」は岡晴夫、「かえり船」は田端義夫、「かえりの港」は藤島武夫。マドロス三人男と言われました。このマドロス人気にあやかって、裕次郎、松山恵子、野村雪子らつぎつぎと印象的な曲を歌い、ブームが続きました。
 それに少し遅れて、船村徹と星野哲郎コンビが漁業と港をテーマにした歌を作ります。北島三郎、鳥羽一郎らが歌いあげ、大ヒットを記録していきます。
 2003年、テイチクは「愛しのマドロス港唄」というCD-BOXを売り出しました。ここには、キング、テイチク、東芝EMI、コロンビア、ビクターから7枚のCD、135曲が収められています。
 ビクターからのものには、フランク永井の歌唱も収められています。「霧笛の町」「波浮の港」です。
 野口雨情作詞、中山晋平作曲の歌で、私が小学校の頃に学校で歌った覚えがあります。これは超有名な歌であることから、多数の歌手が歌っています。フランク永井の歌唱は、そうした中でも男性歌手では抜きんでいてうまいと思います。

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 恩師吉田正の門下生で人気を誇ってきた橋幸夫は、今年3月の80歳の誕生日を境に引退します。
 現在全国各地で最終公演を行っております。大学の学生になって書画の勉強をされているとのことで、引退後は自分のやりたいことに取り組むとのご様子です。
 長い間の歌手活動で、多くのファンを楽しませてきたことに、感謝と敬意を表します。
 吉田門下生とはいえ、フランク永井とは全く異なる分野で活動されてきました。デビューは誰でも知るところの「潮来笠」。旅笠時代物で橋の巻き舌による演歌調が、当時フレッシュな感覚で迎えられ一気に花が開いた感じでした。
 フランク永井と同じで、当時は毎日ラジオから放送されていて、否が応でも覚えてしまいました。吉田正は、自ら開拓した王道「ムード歌謡」とは異なる、リズム歌謡とか青春歌謡とかを橋幸夫や三田明に提供して成功を収めています。
 吉田正のままざまな分野への挑戦を受けて、それをヒットに持っていった力量は認めざるを得ません。
 橋はひと時ビクターを離れたり、歌から遠ざかったこともありましたが、恩師はビクターへの復帰を快く引き受けました。人間としての大きさを感じます。
 橋は歌の世界に復帰し、その後も活躍をつづけました。だが、橋を追ってみてみると、若い時代のつやのある高音は少しづつ衰えていきます。
 若い時代の歌で、しんみりと胸を揺るがしたのは、個人的には「雨の中の二人」です。
 後年で彼の歌唱に感心したのがあります。それは1999年2月にNHK「BS日本のうた」での「有楽町で逢いましょう」を歌った時です。
 橋はこの先輩の代表曲を、落ち着いて、手を抜かず、丁寧に歌い上げています。フランク永井への敬意を感じます。
 橋はこれまで幾度もフランク永井カバーをしていますが、ここでの一曲は少し違います。
 フランク永井は橋の歌を正式にカバーしているのは「潮来笠」です。「オール・スター・フェスティバル/吉田正傑作選」(1969:SJX-19)に収録した一曲です。ちなみに、ここで「有楽町で逢いましょう」を歌っているのは相良直美です。
 橋幸夫の引退とともに、吉田メロディーへの世間の関心が大きく衰退するのは避けられない流れかと危惧します。
 吉田メロディーの時代の大きな区切りとなるでしょう。だから、吉田正、フランク永井の気づき上げた演歌臭の少ない流行歌の追及が避けられません。
 流行歌でありながらも、日本の風土を外れない、心を歌う世界がきっと切り開かれるものと心から期待します。

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 年賀状の交換は近年ご遠慮させていただいています。ご容赦ください。それでも、ありがたいことに少なくない賀状をいただきます。メールもいただきます。まことにありがとうございます。
 ファン同士のお付き合いをしているS三から頂いたメールに、野口五郎・板野友美が歌った「東京ナイト・クラブ」があるよ、と教えていただきました。
 2017年02月に発売された「野口五郎 風輪」というアルバムにあるんだがということでした。せっかくこのような情報をいただき、早速にあたってみた次第です。
 野口五郎については名前は良く知っているのですが、あまりよく情報を知りません。1982年にフジテレビ「夜のヒットスタジオ」でフランク永井が「Woman」を披露した際に、共演されていたことぐらいです。
 だが、野口がフランク永井を先輩として敬意をもっておられたことは知っています。それがこのアルバムのような形で出たのだと思われます。
 聴いてみました。まず編曲が若い世代用にまったく変化しています。デュエットは元AKBというのだが板野友美。失礼ながらまったく存じ上げません。しかし、野口とともに当時の時代を必死に想像してムード歌謡風に歌い上げているのは伝わります。
 なお、このアルバムは基本的にカバーです。次のような収録曲です。

  01「愛が生まれた日」/ 早見優
    (オリジナル:藤谷美和子・大内義昭)
  02「今だから」/ 信近エリ・小野賢章
    (オリジナル:松任谷由実・小田和正・財津和夫)
  03「愛の奇跡」/ 沢田知可子
    (オリジナル:ヒデとロザンナ)
  04「ロンリーチャップリン」/ LiLiCo
    (オリジナル:鈴木聖美 with Rats & Star)
  05「東京ナイト・クラブ」/ 板野友美
    (オリジナル:フランク永井、松尾和子)
  06「AM11:00」/ callme
    (オリジナル :HY)
  07「別れても好きな人」/ 研ナオコ
    (オリジナル(カバー):ロス・インディオス&シルヴィア)
  08「銀座の恋の物語」/ ひとみ
    (オリジナル:石原裕次郎・牧村旬子)
  09「冬のファンタジー」/ i☆Ris(芹澤優、若井友希)
    (オリジナル:カズン)
  10「もしかしてPARTII」/ 小林幸子
    (オリジナル:小林幸子・美樹克彦)
  11「それぞれの時 another ver」/ 高柳明音(SKE48)
    (オリジナル:野口五郎&高柳明音)

 知っている曲もあります。「銀座の恋の物語」「愛の奇跡」等々。全体として世代の相違を感じます。若い世代は、これをどのように受け止めているのかを知りたいものです。
 だが、このようなアルバムを作ったというだけで、ありがたいことです。
 最近テレビでの歌謡番組をみていると、若い世代の歌謡曲への挑戦があります。新浜レオン、辰巳ゆうと、パク・ジュニョンが出ていました。
 ド演歌のこぶし回しをひかえた歌謡曲ですね。フランク永井らが切り開いたといわれる「ムード歌謡」、恩師吉田正が模索した「吉田メロディー」もそうでした。だが、そうした路線とはやや似ていつつも、独自の歌謡曲を模索しているような挑戦を感じます。
 昔はレコードを売る、CDを売るということに打ち込んだのですが、現代はオンラインでのダウンロード、SNSとかビッグテックのメディアでの拡散というのが主流のようです。
 すると当然歌手の実力、歌の良さが勝負になります。難しい世代ですが、若い世代の皆さんに是非とも頑張って欲しいと思っております。
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 明けましておめでとうございます。
 「フランク永井あれこれ」今年もブログを続けていきますので、よろしくお願いします。

 昨年の社会も3年続きで大変な年だったと思います。いうまでもなく、世界中を巻き込んだ新型コロナウイルスの件です。そればかりか、昨年初頭からのウクライナ紛争です。
 この2つの大きなできごとに、大きな影響を受けた年だったと思います。
 私らの年間行事でもあった「フランク永井歌コンクール」も延期されました。かつてない3年間のブランクは、これからの再開の障壁になります。
 何とも残念なことですが、見渡せば、世界中で人びとが楽しみにしてきたイベントが中止を余儀なくされています。
 ウイルスは、湿気に弱く普通であれば雨季に入れば殆どが流行を途絶えるのですが、現在の「新型」は、変異を何度も繰り返しながら、未だ暴れまくっているようです。
 気候が逆転している地球の反対側でもウイルスは、ものともせずに人に襲いかかっているというのだからやっかい極まりありません。
 唯一の対応がワクチンだと、世界的に接取に誘導されていますが、何度もブースター接取しており、普段からマスクや消毒を続けている日本が、世界で一番罹患率が高くなったというのだから、驚くばかりです。

 目に見えないウイルスに対して、政府や医師会がいう対策が頼りです。免疫力を高め、病気にならないように心がけて生活する以外にありません。
 免疫力を保持するには、とにかく過度のストレスに注意することでしょう。腹八分目、良く笑う。そして、自分にとって安堵する音楽を聴くことです。
 その点で、私たちフランク永井ファンは、フランク永井の歌を欠かさず聴きましょう。
 私は365日、ほとんど聴かない日はありません。おかげで、現在のところ元気にしております。
 現在はブログでも書いていますが、フランク永井の「100巻全集」と「特選100曲」をどうしようかとしているところです。
 もちろん、商品として出るようなことはありませんが、想像です。これは、とにかくフランク永井の曲を聴きまくるしかありません。
 映像や映画を観まくるしかありません。確かに時間がかかることですが、これ以上楽しく至福を感じることはありません。
 時間帯にもよりますが、おチャケを片手にしてなら、最高のときです。
 ということで、今年もよろしくお願いいたします。

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