2022年12月アーカイブ

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 「有楽町で逢いましょう」はフランク永井を全国的な歌手に押しあげた曲として、フランク永井を語るときに欠かせません。この歌は多くの歌手によってカバーされていますが、今回はギター演歌手、流しの演歌師渥美二郎のを紹介します。
 2001(H13)年5月にNHK『BS日本のうた』で歌ったものです。3番まできっちり歌っているのですが、さすがといっていい歌唱に感心します。
 流しを経験して人気歌手になったこと自身が、歌唱の良さは証明されているのですが、素晴らしい歌唱を楽しめます。渥美はこの曲は好きで、リクエストされたときはもちろんだが、機会があればよく歌っていたといわれています。
 渥美の最大のヒット曲は「夢追い酒」。この曲はフランク永井がカバーしています。1979(S54)「お前がいいというのなら」(SJX-20146)で収録されました。
 ちなみにこの盤には同名のフランク永井の曲の他に「すきま風」「北国の春」「抱擁」「みちづれ」「季節の中で」「青葉城恋唄」「夢去りし街角」「男のポケット」「酒と泪と男と女」「いい日旅立ち」と当時のヒット曲が収められているのですが、いずれも絶品です。
 現在思案中の「フランク永井トップ100(仮称)」に「すきま風」「みちづれ」は欠かせないのではと思っています。

 さて、渥美二郎ですが彼の歌唱の実力は、ここで証明されているというのを感じたのは、1988年1月に中野サンプラザ・ホールで開催された「演歌道20年渥美二郎コンサート」ライブです。
 2時間余りのライブで、彼は100数十曲を披露しています。戦前、戦中、戦後のヒット曲を歌って、その後自分のオリジナル曲を歌いまくります。すざまじい迫力が伝わります。
 自ら演歌師と名乗るほどです。フランク永井のカバーと多くが重なりますが、フランク永井はいわゆる「演歌」の匂いをほぼゼロで歌いますが、渥美は逆にその匂いが100パーセントです。
 流しは日本のあらゆる分野の曲を数千(少なくとも2000程度)はメロディーと歌詞を頭に入れています。これ自身驚異ですが、客(オーディアンス)に「聴かせる」というのは、別の能力です。
 メロディーの一小節ごとにさまざまなニュアンスの「味」を用意しています。メリハリ、活舌、抑揚、こぶし、リズムを爆ぜさせます。
 渥美は病気を経験していますが、歌手生活20周年のこの時期は、声が満開の時です。ライブでの弾む歌唱は彼の並々ならぬうまさを感じます。
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 10月に「フランク永井100選」の妄想について書きました。今回は「ベスト100」としますが同じです。フランク永井の曲から100を選ぶとしたら何を選ぶか、という仮想の話です。これ以来、つらつらと考えてきました。
 まだ何も決めていませんが、いくつか思いついたことを書きます。
 まず、最初に、何らかの形でこのサイトをご覧になっているファンの方にも希望を募ります。前回の記事で、早速に何人かからご希望が当たってきています。引き続き、頭をひねっていただいたらと存じます。
 大枠として、(1)オリジナル、(2)カバー、(3)洋楽のように3つの分類をしてみます。
 まず、オリジナル曲ですが、およそ400曲あります。良く売れたというのはその年に5万枚でると「ビクターヒット賞」がでます。25曲程度は存在します。また、いままでに「全曲集」のような形で、ベスト・セレクションがいくつも(おそらく10点以上)あります。以前も書きましたが、ビクターさん側がこれぞという選択をしているのですが、ほとんど曲は同じです。30曲ほどに寄せられます。
 これらのヒントは参考にしながらも、今までファンが聴いてきて、これはイイという曲を優先して採用したいと考えています。
 まだ終えていませんが、私の場合は、データブックで表示した全曲を、最初から聴いて、自分の耳には優れた曲、フランク永井の声質を生かしている、これは完成しているというように感じた曲を、ピックアップしていくつもりでいます。

 2番目のカバーですが、これも難題です。つまりほとんどは、オリジナルの曲がヒットを記録したいい曲であり、歌唱力に太鼓判のフランク永井が歌うわけなので、すべてを採用したいほどです。これも全体で400曲程度あります。
 これまで、いろいろ聴いてみて、じっくりと、その気になって聴くと、少しずつですが、完成度の善し悪しが見えてきます。それでも、多数あるのでどうやって、採用を外すかという点で悩みます。

 3番目は洋楽カバーです。私の場合は、これはほとんど、好みになる傾向が強いです。
 フランク永井はご自身がもともと、ジャズ(当時は洋楽をジャズでくくっていた)歌手を強く希望していたこともあり、どれも原曲に近い品質があり、採用から外すのは大変だからです。
 まあ、フランク永井のファンとして、作業は喜びですけど。

 そのような考えから、現時点までにピックアップしたリストは、下記のようなものです。

【オリジナル】現在52曲
085907/Woman/あなたのすべてを/イエス・オア・ノー/おまえに/こいさんのラブ・コール/マホガニーのカウンター/ムーン・ライト・イン横浜/ラブ・レター/逢いたくて/羽田発7時50分/俺は淋しいんだ/下松囃子/加茂川ブルース/街角のギター/君待てども/君恋し(NHKビッグショーEnding)/月火水木金土の歌/公園の手品師/好き好き好き/妻を恋うる唄/秋の終りに/場末のペット吹き/新東京小唄/水のように/生命ある限り/西銀座駅前/赤ちゃんは王さまだ/船場ごころ/大阪ぐらし/大阪ろまん/大阪野郎/追憶の女(おもいでのひと)/冬子という女/東京カチート/東京ギター弾き/東京しぐれ/東京ナイト・クラブ/東京ラブ・タイム/東京午前三時/東北音頭/道後の女(ひと)/熱海ブルース/霧子のタンゴ/霧子のタンゴパートⅡ/夜霧に消えたチャコ/夜霧の第二国道/有楽町で逢いましょう/旅愁/冷たいキッス/恋夜/六本木ワルツ
【カバー】現在26曲
あいつ(旗照夫)/かえり船(田端義夫)/すきま風(杉良太郎)/ヘッドライト(新沼謙治)/よこはま物語(石原裕次郎)/街頭(三浦洸一)/希望(岸洋子)/銀座の恋の物語(石原裕次郎/牧村旬子)/港がみえる丘(平野愛子)/酒場にて(江利チエミ)/昭和枯れすすき(さくらと一郎)/上海ブルース(ディック・ミネ)/神戸で死ねたら(内山田洋とクールファイブ)/赤いグラス(アイ・ジョージ)/長崎は今日も雨だった(内山田洋とクールファイブ)/長崎物語(石原裕次郎)/爪(ペギー葉山)/日暮れ坂(渡哲也)/氷雨(佳山明生・日野美歌)/抱擁(箱崎晋一郎)/無情の夢(児玉好雄・佐川ミツオ)/夜霧のブルース(ディック・ミネ)/夜霧よ今夜も有難う(石原裕次郎)/夜明けの歌(岸洋子)/夜明けの街(石原裕次郎)/落ち葉しぐれ(三浦洸一)
【洋楽カバー】現在11曲
16トン/オール・オブ・ミー/モスクワの夜は更けて/国境の南/時の過行くままに(As time Goes By)/戦場の恋/想い出のサンフランシスコ/二人でお茶を/慕情/夜のストレンジャー/恋人よわれに帰れ

 以上で79曲あります。年末年始の期間に、さらに考えて100曲まで到達できればと思っています。ぜひとも、皆様のリクエストを期待します。

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 10月に1960年松竹映画「東京ナイトクラブ」のなかで、フランク永井と松尾和子の歌唱映像が残されていることを紹介しました。
 レコードが発売されたのは前年なので、フランク永井も松尾和子もフレッシュそのもの。記録としてもカラー映像できわめて貴重と言わざるを得ません。
 ただ、お聴きになれば分かるのですが、音入れが大変よくない。映画フィルムの方はたぶん大丈夫とは思いますが、フランク永井のも松尾和子のも、ちょっと別人かと感じたほどよくないのです。しばらく聞いていると確かに、原音は二人のものだとわかるのですが、ここは残念です。
 松竹のこの映画は、BS松竹東急でもいまだ放映されたと聞きませんが、是非とも流して欲しいものです。

 フランク永井が「東京ナイト・クラブ」を歌った映像はおよそ20本残されています。1978年に所属事務所であるビクターから「魅惑のゴールデン・デュエット」という映像作品(VHS)が発売されました。
 これはまさに、東京ナイトクラブを舞台にして、本格的に録画された映像です。最初に「東京ナイト・クラブ」があります。二人のデュエット映像が12曲あり、フランク永井の「おまえに」が収められた、52分の作品です。
 これは、2009年「フランク永井のすべて」で、5本収録版で再販されています。
 テレビ出演時に何人かの女性歌手とデュエットしています。八代亜紀、島倉千代子、生田悦子、岩崎宏美、青江三奈といった面々です。
 青江三奈は独唱版をおさめたアルバムもあります。八代亜紀は石原裕次郎と「東京ナイト・クラブ」を正式にリリースしています。八代は現役歌手だけあって、今までに幾人かとこの曲のデュエットを残しています。山川豊、藤田まことなどです。
 他の歌手による「東京ナイト・クラブ」のデュエット映像は、およそ30本残されています。聴いてみて、比較的安定的に聴けるのは里見浩太朗と都はるみです。
 「ビタミンボイス」を自称する三山ひろしですが、彼ののどは確かにいい声です。彼は、長山洋子、水森かおり、松前ひろ子とのデュエット映像が残されています。
 松前との映像は昨年暮れの「年忘れにっぽんの歌」でのものですが、お聴きになった方の感想はいかがですか。
 これは変でしたね。それは松前の「こぶし」です。三山もそれに引きづられてか、こぶしの気をやや感じてしまいます。
 恩師吉田正とのコンビで開拓した「都会はムード歌謡」は、演歌調をを消した、限りなく感じさせない歌の調子が特徴です。それをフランク永井や松尾和子がうまく表現しました。
 だから、フランク永井や松尾和子については歌のジャンルとして「演歌」にははいらなかったのです。だが、近年の歌謡曲の分類分けは微妙です。都会派ムード歌謡が、独立したジャンルを保持できるには、やや弱いのと、この分野での若手がいないのが理由のようです。
 若手に都会的な声を出せる歌手はいると思うのですが、残念ながら現代の若者をうなずかせる作詞家と作曲家の層が少なくなったからでしょうか。

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