
11月18日のBSテレビ東京「徳光和夫の名曲にっぽん」は、徳光プロデュースとして「ムード歌謡スペシャル」が放送されました。
当日は人気上昇中の若い男性歌手4人が主役で、はやぶさのヤマト、三丘翔太、新浜レオン、青山新が出演して、ムード歌謡のカバーと持ち歌を披露しました。
中でも、やはぶさのヤマトによる、フランク永井の名曲「ラブ・レター」を注目しました。
当日は、司会の徳光が熱烈に好きだというムード歌謡を20代の彼らに歌わすという企画でした。彼らの声質や歌唱の特徴を考慮して、徳光がこれぞと思う歌を歌ってもらうというものです。
「ラブユー東京」は、4人で歌いました。「城ケ崎ブルース」を青山新、「思案橋のひと」を三丘翔太、「今夜はオールナイトで」を新浜レオン&おかゆでデュエット。そして、「ラブ・レター」をヤマトが歌いました。
彼らはそろって歌がうまい。将来に期待が持てます。
青山はもっと積極的に自分を前に押し出した方がいいのではないのかな。自分にしかない特徴を印象付ける必要がある、などと思いました。
三丘の歌唱は初めて聴きました。声がいいし、堂々としているし、あとは彼の声を前面に生かせる曲目が見出せるかといった感じです。
新浜は何度か聴いています。彼は存在感が一番かな。押しもあるし。ヒットは、彼の印象とばっちり会う曲を得られるか。そしてその曲の求めに彼が正面から応えられるかにかかっているかな。
そしてヤマトだが、全般的にはいい。だが、やはりそうとうの気負いがあってか、低音がやや無理に作られている感があります。それが、曲を重くしている。
悲恋の曲なのだけれど、フランク永井はそれをさらりと、軽く、押しを抑えて歌っているが、このニュアンスを覚えればもっとよくなると言ったところかな。
徳光は、平成令和の時代にこの曲を歌えるのはヤマトだと持ち上げました。歌が終えても絶賛しました。若い歌手にはこの司会の引き立てがたまりません。
だから、徳光に代わって、彼がその場では水を差すようで口にできないことを、自由な私が言い添えてみました。彼らはこのブログは見ていないでしょうけど。
徳光は長編歌謡浪曲にも若手を起用しています。彼のこのような企画は大好きです。ちゃらちゃらして、大人には落ち着かない曲が流行する中で、普通の成長した大人が聴いて静かに心を穏やかにするような日本的楽曲の普及を追及する方向を支持します。
世知辛い現代では、若い歌手がムード歌謡を歌うというのはやはり流行らないのでしょう。だが、決めつけるよりも、現代なりのムード歌謡の世界はあっていいのではないでしょうか。
絶望の中での絶叫、私的な感情を感じたとおりに一方的に語る、若者が目前の苦悩をとつとつと語り、同年代の共感を得る。
このような現代での生きる難しさを吐露する今の歌の世界に、大人の感情の世界、大人の恋愛の世界、成熟した大人の、在る意味堂々とした、ゆとりと深慮ある心持をムードたっぷりに歌うものがあってもいいのではないでしょうか。
歌は作り手がいて、歌手がいて、内容が時代の感覚とマッチし、庶民の求める穴を埋めてくれるときに、ヒットします。
作者も歌手も頑張って欲しいと思うこの頃です。
さて、この日の番組では、秋元順子が司会しているおかゆの作詞作曲による「一杯のジュテーム」を披露しました。
秋本のバラードは最高ですが、秋元は歌がうまいのでおかゆ作品をどうこなすのか、興味を持って鑑賞しました。
ずいぶんと難し曲だと感じました。さすがに秋本、内容を解釈しみごとに歌っています。だが、むしろ感心したのは作ったおかゆです。
酒場ですでに亡くなったと思える相手を静かに思い浮かべながら、そっとお酒で唇をわずかに湿らす...。このようなシーンを、詩とメロディーにしていることです。
おかゆがいくつも別名で曲を作っているのは知ってましたが、こうした曲を作り上げられるのに感心しました。底力を感じます。
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