
フランク永井が松尾和子とデュエットした傑作「東京ナイト・クラブ」が発売されたのは、1959(S34)年です。
これは実はB面で、A面は松尾和子のデビュー曲「グッド・ナイト」です。和田弘とマヒナスターズという、ビクターで売り出しのグループ。
恩師吉田正は、フランク永井に紹介されて、当時プロレスの人気スター力道山が経営していた赤坂のクラブ・リキで歌っていた松尾和子の舞台を訪れました。
松尾の歌声に魅力を感じた吉田正は、彼女のデビューに並々ならぬ力を注ぎます。
人気が爆発していたフランク永井とマヒナをデビュー曲に当てます。フランク永井を差し置いてA面に「グッド・ナイト」をあて、マヒナと組ませたのです。
当然、注目をあびて「グッド・ナイト」は彼女の代表曲になりました。同時に社会の眼を引いたのは、B面の「東京ナイト・クラブ」でした。
夜の都会のムード、大人の恋の夜過ごしをフランク永井と松尾和子の言葉の応酬で見事に表現していたからです。
これはその後の大人のムード歌謡流行の原点になりました。
フランク永井、松尾和子のデュエット歌唱は、他のどの歌手でも表現できない見事なものでした。
名作詞家佐伯孝夫の都会的な洗練されたセンスのせいももちろんありますが、やはり恩師吉田のメロディーも印象的な曲です。リリース盤の編曲は小沢直与志です。
以来、二人のデュエットは「魅惑のゴールデン・デュエット」と呼ばれて、多くのデュエット曲が生まれました。
この大ヒットにより、翌年には松竹から「東京ナイトクラブ」という映画が作られました。
映画はカラー(写真右)なにの、ポスターはなぜか2色です。
大島善介監督、カラーでおよそ30分の映画です。「歌謡ファンに贈る、人気歌手をそろえた最高の贈り物~吉田正ムード・メロディ集」とうたわれて紹介されています。
和田弘とマヒナスターズ、藤田功、朝倉ユリが出演者に記載されています。
有楽町で逢いましょう
好き好き好き
雨の国道7号線
東京ナイト・クラブ
グッド・ナイト
泣かないで
愛の出発点(藤田功)
テレフォン・ボックスNo3(朝倉ユリ)
テレビの30分番組のようなものでしょう。
ただ、このような情報はポスターからと、松竹が公表しているデータから得たものですが、実際の映像は全く知れていません。
ファン仲間でも「もしかして、実際に作られなかったのでは...」とまで言われていました。
ところが、つい最近にyoutubeで、この映画の画像から切り取ったと称する「東京ナイト・クラブ」がアップされて、それを観ました。
歌が大ヒットしたときの二人の映像、テレビで二人は数知れず歌っていますが、若い二人の映像は貴重そのものです。しかもカラーで。
いかなる経緯でこの映像が出たのかはまったくわかりませんが、大変感謝します。ご興味がある方は、ぜひご覧になってください。
できることなら、フルフル全編を公開していただければとお願いする次第です。