2022年10月アーカイブ

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 フランク永井が松尾和子とデュエットした傑作「東京ナイト・クラブ」が発売されたのは、1959(S34)年です。
 これは実はB面で、A面は松尾和子のデビュー曲「グッド・ナイト」です。和田弘とマヒナスターズという、ビクターで売り出しのグループ。
 恩師吉田正は、フランク永井に紹介されて、当時プロレスの人気スター力道山が経営していた赤坂のクラブ・リキで歌っていた松尾和子の舞台を訪れました。
 松尾の歌声に魅力を感じた吉田正は、彼女のデビューに並々ならぬ力を注ぎます。
 人気が爆発していたフランク永井とマヒナをデビュー曲に当てます。フランク永井を差し置いてA面に「グッド・ナイト」をあて、マヒナと組ませたのです。
 当然、注目をあびて「グッド・ナイト」は彼女の代表曲になりました。同時に社会の眼を引いたのは、B面の「東京ナイト・クラブ」でした。
 夜の都会のムード、大人の恋の夜過ごしをフランク永井と松尾和子の言葉の応酬で見事に表現していたからです。
 これはその後の大人のムード歌謡流行の原点になりました。
 フランク永井、松尾和子のデュエット歌唱は、他のどの歌手でも表現できない見事なものでした。
 名作詞家佐伯孝夫の都会的な洗練されたセンスのせいももちろんありますが、やはり恩師吉田のメロディーも印象的な曲です。リリース盤の編曲は小沢直与志です。
 以来、二人のデュエットは「魅惑のゴールデン・デュエット」と呼ばれて、多くのデュエット曲が生まれました。
 この大ヒットにより、翌年には松竹から「東京ナイトクラブ」という映画が作られました。
 映画はカラー(写真右)なにの、ポスターはなぜか2色です。
 大島善介監督、カラーでおよそ30分の映画です。「歌謡ファンに贈る、人気歌手をそろえた最高の贈り物~吉田正ムード・メロディ集」とうたわれて紹介されています。
 和田弘とマヒナスターズ、藤田功、朝倉ユリが出演者に記載されています。
  有楽町で逢いましょう
  好き好き好き
  雨の国道7号線
  東京ナイト・クラブ
  グッド・ナイト
  泣かないで
  愛の出発点(藤田功)
 テレフォン・ボックスNo3(朝倉ユリ)
 テレビの30分番組のようなものでしょう。
 ただ、このような情報はポスターからと、松竹が公表しているデータから得たものですが、実際の映像は全く知れていません。
 ファン仲間でも「もしかして、実際に作られなかったのでは...」とまで言われていました。
 ところが、つい最近にyoutubeで、この映画の画像から切り取ったと称する「東京ナイト・クラブ」がアップされて、それを観ました。
 歌が大ヒットしたときの二人の映像、テレビで二人は数知れず歌っていますが、若い二人の映像は貴重そのものです。しかもカラーで。
 いかなる経緯でこの映像が出たのかはまったくわかりませんが、大変感謝します。ご興味がある方は、ぜひご覧になってください。
 できることなら、フルフル全編を公開していただければとお願いする次第です。

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 フランク永井の全容を世間にアピールできるのは、期間的に大きな限界が近づいているのは、ファンの多くが自覚しているところです。
 デビューが1955年で、舞台から去ったのは1985年です。30年間日本歌謡界で一世を風靡したわけですが、時が経過するのは速く、2008年に亡くなってからも14年です。
 そのフランク永井の残した膨大な作品が、基本的すべてアナログです。現在デジタル復刻され、私たちが自由に楽しめるのは、全体のわずかにすぎません。
 ただ、所属のビクターはこの間可能な限りの努力をされてきました。それでも、採算的に課題があり、完全復刻にいたらないまま、アピールのタイミングの限界を迎えようとしているわけです。
 そこで、外部のファンの一員として、勝手な妄想をしてきたわけです。
 ひとつは、2016年に発売された「A面全集」の続編として「B面全集」ができたなら、少なくともシングル盤については、そうとう満足いく状態まで進むと思ったわけです。これに、未発表のNHK紅白歌合戦連続26回出場の全シーンがDVDで付けば、すばらしいものとなるのは疑いのないものです。

 だが、実は「B面全集」が出たとしても、フランク永井の残した歌のすべてをカバーできていません。
 そこで、つらつら考えてみると、結局「フランク永井100巻全集」に行き着きます。
 これは、権利問題、採算問題を考えると、とても日の目は見れそうもありませんが、ファンとしては歴史の記録に実現したいものです。
 全容を網羅するとなると、シングル盤のすべて、オムニバス盤を含むLP盤の曲のダブりができるだけない盤(全集、セレクション、トップいくつか、デラックスといった盤はほとんどがダブりです)、ソノシート、テープ、8トラックでだけに採取された曲が柱になります。
 これだけで、レコードとしてはほんとうの全集になります。CD枚数はここまでで何枚になるか、まだ計算していません。50枚程度にはなると予想しています。
 フランク永井が残したものは、レコード以外にもあります。
 それは、執筆した文書、ラジオ番組での音声、テレビ出演での映像、そして映画です。
 文書はやや扱いに難があるかもしれません。だが、音声、映像は、放送した局や映画会社との著作権の許諾がそうとう困難かと思われますが、クリアできるかもしれません。
 そこで、手持ちの資料から、下記のようなリストを作ってみました。単にフランク永井が出演したというだけのものは、そのシーンだけ、まとめてDVD化する必要があるでしょうが、フランク永井が主演的な番組はまるごと収容するのがいいと思われます。

1977.05.05 トップスターショー歌ある限りフランク永井(TBS)
1975 魅惑のゴールデン・デュエット(ビクター)
2009.12.28 NHK夢の音楽会~真冬の夜の偉人たち(NHKラジオ)
1983 秋の演歌一本勝負(テレビ東京)
1984.10.04 この人フランク永井ショー~母あればこそ(NHK)
2007.11.04 昭和歌謡黄金時代~フランク永井・松尾和子
2009.03.01 歌伝説~フランク永井の世界(NHK)
2013 あの人に会いたい~フランク永井(NHK)
2017.10.23 あのスターにもう一度会いたい~フランク永井低音の魅力(BS11)
2021.09.17 武田鉄矢の昭和は輝いていた~フランク永井魅惑の低音誕生秘話(BSテレ東)

 映像では、多くの番組に出演した際のカットをまとめてみると、およそ5本にはなると思われます。映画は28本あります。「B面全集」で触れたNHK紅白の1枚も加えたいです。すると、映像関係だけで50枚弱になるでしょう。
 実に大雑把ですが、以上で100枚になります。

 「B面全集」と「100巻全集」に触れました。超大作だと思います。
 これに至るまでの、準備として、前回触れた「フランク永井100選」を先行実現してみたいものです。
 従来の全集などでピックアップされた30曲ほどに加えて、今まで注目されなかったレアないい曲と、これぞというカバー曲、そして洋曲で構成すれば、ちょうど100曲ぐらいにはなると思います。

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 先週に「フランク永井B面シングル全集」発刊への希望を記しました。さまざまな、反響、リクエストありがとうございます。
 A面全集に収められた曲を、リリースされたシングル曲の全体から除くと、まだ150曲ほど残っているよ、ということでした。
 A面全集ではCD10枚に215曲ほど収められていますので、仮に同様なボリュームにした場合は、あと60曲ほどの余裕があります。
 こず、これを埋めるなら、どこから取ってくるかということになりますが、LPとオムニバス盤とテープでのレア曲となります。
 しかし、LPとオムニバス盤は120余枚あり、テープ類についての100件近く存在しています。
 フランク永井のLP盤については、カバーとか特別企画で編成されたものについては、やはり、その盤名を明記したCD復刻が最善と思います。
 いくつかは確かに復刻されていますが、全体から見るとまだわずかしかありません。これはこれとして、まとめてドーンと出てほしいものです。
 LP、オムニバス(例えば「魅惑のオールスターズ」シリーズなど)で、シングル盤とダブらない曲をあげると、およそ500曲は超えそうです。
 そこで、初期LPで「魅惑の低音」シリーズ18枚(「傑作集」「アルバム」4枚含む)と、その後の「ステレオ・ハイライト」シリーズ6枚ありますが、ここにシングル盤になり曲が60曲あります。
 すると、ちょうと210曲程度となり、CD10枚組にぴったりとなります。これで、B面+初期レア曲全集としてうまくまとまりそうです。
 「魅惑の低音」「ステレオ・ハイライト」の2シリーズにおいて、シングル盤にはない曲は、以下の通りです。

「魅惑の低音」シリーズ43曲
裏町24時/快速艇の男/捨てられた街/展望台の青い空/クレージー・ボーイ/恋人のライター/恋路/信号灯が止めたのさ/口笛の丘/海の旅情/北風の中を俺はゆく/酒場のひとり言/ひとときの別れ/あの娘のいない酒場/アコちゃんこんにちは/やたら無性に恋しくて/もう恋せない/悪いのは男の俺/きっときっときっと/夜が逃げてゆく/おかよ坊/夜更けのうたごえ酒場/無情の街/空ほど君を愛してる/十日の別れ/東京退屈野郎/青いシートを泣かせるな/雨の夜の想い出/湖上のサキソフォーン/失われた慕情/生きる/ジプシーの唄/涙は恋の友達さ/月に行きたい/愛より愛へ/東京のはぐれ星/雨/さいはての星/恋が生まれるとき/みれん/トランプ占い/男の誓い/霧の札幌飛行場

「ステレオ・ハイライト」シリーズ17曲
新大阪小唄/さすらいの雨が降る/男/頬をよせあい灯を消そう/東京ラブ・タイム/郷愁/愛する/琴の雨/夢のワルツ/東京バカンス/あの娘は何処に/悲しみのスーツケース/銀の十字架/夜の歌/小指/もんく/長いまつげ

【追記10.11】ちなみに、特典DVDですが、今回もNHKに依頼して、フランク永井出演の「紅白歌合戦」のすべて(第8~33回、全26本)を入れてもらうのはどうでしょうか。
 私製している盤では、映像がないのが何回かあります。NHKの近年の再放送でも出なかったようです。だが、その後視聴者からの寄贈などで、ほぼそろったように伺います。このような機会に、ぜひとも出してもらえればファンは大喜びではないでしょうか。
 1957年第8回「東京午前三時」
 1958年第9回「西銀座駅前」
 1959年第10回「俺は淋しいんだ」(音声あり)
 1960年第11回「東京カチート」(音声あり)
 1061年第12回「君恋し」(音声あり)
 1962年第13回「霧子のタンゴ」(音声あり)
 1964年第15回「大阪ぐらし」(音声あり)
 1971年第22回「羽田発7時50分」(音声あり)

 なお、別の企画ですが「フランク永井の100選」のようなものが、あってもよいと考えています。
 ここには従来CD発売されていたものに、数的な制限から常に漏れていた傑作を入れ込むというのがいかがでしょうか。
 前回に寄せていただいたリクエスト曲を、この企画でなら実現しそうです。
 現在となっては、カバーや洋楽もフランク永井の素晴らしい歌唱を評価すれば、オリジナルのようなものです。だから、それも含めた全分野から厳選100曲といった感じです。

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 もちろんだが、このようなCD-BOXは発売されていません。
 2016年の2月に「懐かしのフランク永井シングル全集」というのが発売されました。これは正式にリリースされたシングル盤およそ250枚の、A面でフランク永井が歌った曲をCD10枚、215曲を収録したものです。
 フランク永井は永眠されたのが2008年だが、実質舞台から消えのは1985年、およそ40年近く前になります。当然ですが、ファン層もそのときから、すでに40年歳をとりました。
 だから、2016年のA面全集はある意味でフランク永井の集大成のようなものだったのではないでしょうか。
 だが、私は一ファンとしてこれを手に取ってみて、そうしたレコード会社の取り組みには感謝したものの、取り上げられなかったB面の曲が日の目を見なかったことに、残念に思ったのです。
 あれからずいぶん経ちましたが、今回改めて、とりのこされた曲について、調べてみようと思いました。
 そして、ファンの妄想としてですが、残された曲を仮称「B面全集」という形で、いや形式はこだわる理由はないのですが、そのような企画での製品が出てもいいのではないか、と思った次第です。
 今回は、このA面全集で、何故か取り上げられなかった曲を紹介します。
 正式なリリース盤とはどう規定するのだろうか。私はデータブックを作る際に、正式に発売されたシングル盤について、ABに曲であること。SP盤はVシリーズ、EP盤のモノラルはVSシリーズ、ステレオ盤はSVシリーズとしていました。なお洋楽はSPではAシリーズ、EPではAS、PVシリーズ。さらに、リプリーズ・レコードのJETシリーズです。
 実際の製品を見てみると、例外的にコンパクト・ダブル(4曲入りSVCシリーズ)、地方観光協会などとの提携で製作したMVシリーズからの曲も使われています。「ねむの木」「ラブ・レター」「瀬戸内ブルース」です。
 「おまえに」は2度リリースされていますが、初回はB面ですが、以後のものはA面です。そして、音源が同一ものとして2回目のものを採用しています。
 「3回目も新たに吹込みした」という話題も当時あったようですが、ここでは否定されています。
 そして、リリースされた盤でA面でありながら、入っていないのはないのかという疑問ですが、やはり存在します。
 それは、写真でかかげましたが、つぎの曲です。
 まずSP盤「無敵の町」と「花売り娘とギター弾き」。EP盤「ムーンライト・イン・横浜」「思い出のレコード」です。そして、洋楽ですが、写真にあげましたが「戦場の恋」「勇者のみ」「アイル・リメンバー・トウナイト」。
 この7枚はなぜA面から漏れたのでしょうか。洋楽3枚は、洋楽だからということで、意図的に外したかもしれませんが、それ以外は根拠が不明です。
 さて、上記で私が既定したリリーズ盤で、主にB面ですが、A面全集に載らなかった曲はどれほどあったかと言うと、153曲ほどあります。
 この漏れたB面の曲をすべて含んで、他にフランク永井が歌ったもので、いまだデジタル化されていない曲とか、これはどうしても取り上げてみたいというオムニバス版やテープ(8トラックも含めて)曲を網羅した、仮称「B面全集」の企画はいかがでしょうか。

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