2022年7月アーカイブ

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 「吉田正生誕100周年」記念の特集番組で、昨年9月に放送されています。このときに、当コラムで、私は【期待通りの「徳光和夫の名曲にっぽん〈吉田正生誕100周年〉」】として紹介(2021.9.7)していますので、ご参照ください。

 一年ぶりにじっくりと楽しませていただきました。恩師吉田正の偉大さについては、さすがに、エピソードがで尽くされていますが、話の好きな橋の説明がそれなりにポイントを得ていて、人となりがそつなく紹介されていたと思います。
 橋幸夫が恩師吉田正を、理工系の頭脳で曲を作ったというくだりは、ユニークだったと感心します。
 確かに吉田正は理系の高校に進んでいます。行き当たりばったりのその場での感覚で曲ができ、偶然にそれがヒットするということもあるのでしょうが、それ以上に吉田正は、世界情勢に常に目を光らせ、周囲に解説者、評論家、記者、別の職業の人たちと親交をもっていました。
 夜の飲みの場などを利用して、情報を交換し、集めて、理詰めで曲を生み出したという。確かに並の作曲家と異なり、生涯にわたって独特の吉田メロディーを生み続けました。

 私は当然フランク永井の役割に関せる説明とか映像に関心を持って観ていました。「西銀座駅前」「有楽町で逢いましょう」「おまえに」という代表曲が映像で出ました。歌謡曲の映像ではおそらく、最大を誇るテレビ東京なので、映像映りの一番いいのを採用しているは間違いないのですが、ファンの欲目では、ぜひとも、今まで露出が少ないのを紹介してほしいと思いました。
 もう一つは、徳永が日ごろから力を入れている若手歌手への思いです。歌謡曲は、平成、令和を経て、大きく変化を迎えています。
 次世代でも新たな姿で歌謡曲を発展させていってほしいという思いです。
 作詞家、作曲家、編曲家と歌手のコンビでも、ビジュアル当然の今の時代、以前の時代と異なります。吉田正とか佐伯孝夫や宮川哲夫といった人たちは、曲目作りに闘魂を込めていました。美空ひばりと米山正雄の関係のように、皆が持つ「魅力を最大限に引き出す」ことに大胆でした。
 当然、フランク永井もそのような結果として生まれたわけですが、そこが現在は薄いように感じています。
 だから、若い歌手の方々には、過去のいい歌を受け継いで欲しいのは当然ですが、かつてフランク永井が「有楽町で逢いましょう」を歌って、広く世を酔わしたようなショックある曲目の出現を望みます。

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 土曜日の朝日新聞には「be」とうい別冊が付きます。ページを開くと「今こそ!聴きたい」という欄があり、今週のテーマは「盆踊りの歌」でした。
 夏はやはり、盆踊り、と言いたいのですが、ここコロナ禍で中止が続いていて、私の住まい周辺でも催しがなくなっているのが残念です。
 十位までのランキングを見てみると、当然のように第一位は炭坑節(福岡)でした。二位は北海道のソーラン節、三位東京音頭です。
 フランク永井の曲を聴き通している私としては、フランク永井の「炭坑節」とともに、忘れられないのは「東北音頭」です。東北音頭はフランク永井の出身地である宮城県の新聞社東北新社が、応募を募って作ったもので、東北あげて盆踊りで使われました。
 橋幸夫が復刻カバーしましたが、その後盆踊りで採用されたという話は聞きませんでした。
 さて、フランクの炭坑節ですが、これは聴いてみたらなかなか耳に残るユニークな曲です。1961(S36)年に「フランク民謡を歌う」というアルバムで吹き込んだものです。
 炭坑節は知らない人がいないほど有名ですが、もともとは、三池炭鉱の労働現場の春歌です。手をたたきながら、酔ってみんなで調子よく歌うもので、分かりやすく洗練されています。これが盆踊りの局になるには、歌詞を微妙に変更して、皆に親しまれるものにされています。
 盆踊りにはぴったりの調子です。やはり、盆踊りとなると、歌い手は三橋美智也のような民謡調の歌手が定番です。色恋、別れを歌う低音のフランク永井ではどうも、イメージ的に難しいものがあります。というところで、レコード会社とフランク永井は、その個性を生かした独特の、ジャズ風の炭坑節に仕上げます。
 そして出したのが「フランク民謡を唄う」です。演奏も独特のものです。これは知る人ぞ知る、けっこう、それなりの人気を得ました。
 この曲はその後、1977年に「オールスター民謡俗曲集」に採用され、CD時代には「フランク永井ベスト・コレクション」(2011)、「フランク永井ザ・カバーズ~魅力の低音再び」(2015)、「フランク永井ベスト~歌と映像で綴る」に収録されました。
 耳に残るというのは、掛け声「さのようよい」のところを「ぐりぐり」と「さぁぐりぐり」と言っているところです。
 フランク永井は、澄んだ低音でこの歌をジャズを歌うノリで歌いこなしています。完成度の高い歌の印象を受けます。歌詞は下記のとおりです。

  月が出たでた 月が出た ぐりぐり
  三池炭鉱の 上に出た
  あんまり 煙突が高いので
  さぞや お月さん 煙たかろ さぁぐりぐり

  あなたが その気で言うのなら ぐりぐり
  思い切ります 別れます
  もとの娘の十八に
  帰してくれたら 別れます さぁぐりぐり

  お札を枕に 寝るよりも ぐりぐり
  月が差し込む バラックで
  ぬしのかいなに ほんのりと
  わたしゃ 抱かれて 暮らしたい さぁぐりぐり

  一やま 二やま 三やま超え ぐりぐり
  奥に咲いたる 八重つばき
  なんぼ色よく 咲いたとて
  虫さんが通わにゃ 仇の花 さぁぐりぐり

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 「発見」といっても、新しい映像とか、新発見といったことではありません。
 私はフランク永井のテレビ番組での映像を集めて、昨年暮れに「フランク永井データ2」を編纂したのですが、この時点での全リストを整理したつもりでしたが、このリストに上げていなかったというだけの話です。
 フランク永井のテレビ映像というのは、決して多くはないのですが、それでも207本をリストに挙げていました。この度の発見で208になったわけです。
 1980(S60)年3月25日テレビ東京「にっぽんの歌」で出演した際の「こいさんのラブ・コール」(石浜恒夫作詞、大野正雄作曲)です。
 先日取り置きしていた武田鉄矢の「昭和は輝いていた」シリーズで、昨年10月放送の「街を彩った歌謡曲~大阪」編です。ここで、大阪にまつわる著名な名曲を紹介するシーンで、語る際に欠かせない曲として紹介されていました。
 この曲は1958年4月に関西の朝日放送「ホーム・ソング」で紹介されて、人気を博した曲です。それを受けてビクターはABC放送管弦楽団の演奏の、当時放送されたままの曲をレコード化して発売しました。
 だが、この時点でビクターの人気第一人者だった三浦洸一の「釧路の駅でさようなら」のB面でした。
 それでも、この曲はフランク永井の代表曲のひとつです。これをきっかけに、関西地方でのフランク永井の人気が高まり、多くの関西モノを発売していきます。「大阪ぐらし」「大阪ろまん」「加茂川ブルース」「大阪野郎」「大阪流し」等々です。
 フランク永井のソフトな歌唱表現がぴったしだったのです。
 
 さて、いくつかの撮り置き録画を見ていて「君恋し」もありました。映像は最も多い「有楽町で逢いましょう」の31本に対して、2番目に多いのが「君恋し」です。この中から、1984(S59)年暮れの「年忘れにっぽんの歌」の「君恋し」映像でした。
 テレビ東京による「君恋し」映像では、これと翌年3月の「にっぽんの歌」出演時の映像が多用されている感じです。

 映像を観ていて、つい話に触れたくなったのは、フランク永井と同時代で人気を得ながら、その後なかなか映像で出るシーンが少ない歌手の件です。
 まあ、ほとんどの人がそうなのでしょうが、私的に好きな歌手である藤本二三代と神楽坂浮子の映像も印象に残りました。
 藤本二三代の歌では代表曲「好きな人」の出番が多いのですが「有楽町で逢いましょう」のB面を飾った「夢見る乙女」の映像も流れました。
 映画「有楽町で逢いましょう」でも「夢見る乙女」は流れましたが、貴重な藤本の映像でした。
 同じようになかなか見る機会がないのが神楽坂浮子です。彼女の代表曲は何かと聞かれると、なかなか思い出せないのですが、観た映像は「明治一代女」と「私なんだか変テコリン」です。
 お二方については、ビクターから近年に出されている「日本の流行歌スターたち」で復刻発売されています。藤本については、2枚です。ここには、選出の曲以外に、さまざまな初めて聴く曲も入っています。
 お二人とも歌声がきれいで、美人でも有名ですので、ファンは多かったのですが、近年テレビで見る機会がほとんどないのが残念です。私もときどき、「日本の流行歌スターたち」で聴いて、思い起こしているところです。

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 フランク永井のカバーは昭和歌謡の中でも定評があると思います。フランク永井は「低音」で知られているが、彼の音域は広く、実は高音の魅力も欠かせません。
 フランク永井の声の魅力は、低音から高音に一直線に伸びるところです。しかも、その発声に品を感じるところです。
 宮史郎とか宮路オサムのようなだみ声はそれはそれで魅力ですが、フランク永井の丁寧な発声には品があります。フランク永井のファンはこの品を共通に感じています。
 毎日、何曲もフランク永井の曲に聴き入る私は、つくづく、フランク永井に続く後継者が見いだせないのは、この品だなと思います。

 さて、カバーに戻ります。カバーは何曲も歌っています。どれも素晴らしいのですが、聴いていて、これは秀逸だなと感じた曲を紹介してみたいと思います。
 もちろん、私の個人的な見解です。作詞家、作曲家の意図をオリジナルよりも良く表現しているのではないだろうか(オリジナルはオリジナルで、優れているのは当然とし)、と感じた曲です。
 最初は、田端義夫の「かえり船」(1945(S21)年)清水みのる作詞、倉若晴生作曲です。
 田端義夫はバタやんで愛され、戦中から親しまれた歌手ですが、彼の代表曲でもある「かえり船」はいい曲です。
 これは言うまでもなく、戦争が終わり外国から帰還する日本人(民間人、軍人)を輸送した船を歌ったものです。おのおのが戦争の体験を背負って、祖国に帰る。何年もあっていない親族、家族が帰着場で再会を待つ。
 拭いえない戦争の影を持った曲です。バタやんはこれを独特の哀愁溢れる歌唱で歌い、たちまちヒットしたものです。
 フランク永井はすでに「君恋し」でリバイバルを歌っていますが、その後の懐かしのメロディーのカバー・ブームの中で、1970年LP「上海ブルース」を発売しています。この中に、この「かえり船」を入れています。
 このアルバムは、タイトルの「上海ブルース」を始め「港が見える丘」「明治一代女」「妻恋道中」「高原の駅よ、さようなら」「国境の町」「長崎物語」「泪の乾杯」「野崎小唄」「熱き泪を」が収録されています。
 どれも完成度は高いです。フランク永井ののどの調子は絶好の時代であったこともありますが、中でも「かえり船」は味が出ています。
 この曲はその後「ザ・カバーズ~魅力の低音再び2」(2015:VIZL-64439)でCD化されています。ぜひ機会があれば聴いてみてください。
 「かえり船」といえば、昭和歌謡で忘れてならないのは「岸壁の母」でしょう。1954(S29)年菊池章子が発売しました。藤田まさと作詞、平川波竜作曲です。
 1971年この曲は浪曲家の二葉百合子がアルバムでカバーしたのですが、あまりのファンの声の多さから翌年浪曲調のシングル盤を作りました。これが二葉百合子の代表曲までになり、現在に引き継がれています。
 端野いせという実話があって、舞台や映画、ドラマになりました。戦争の悲劇、不幸の泪という側面を持ち、卓越した二葉の浪曲調歌唱は誰にもできない味をだしたのです。
 今年も暑い夏を迎えました。戦争を根絶することを思いつつ、こうした歌を聴いています。

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 SPレコードから、より手軽に聴きやすいSPレコードに切り替わったのは、1960(S34)年で「鈴懸のころ」が最後のSP版です。A面は三浦洸一の「流転」。
 いままでのVシリーズからVSシリーズに変更していきました。そして、それ以前のSPは、VSとして続々さかのぼって発売していきました。「有楽町で逢いましょう」とか「羽田発7時50分」等のヒット曲は優先的に発売されました。結果として、VとSVシリーズが併売されたわけです。
 この時期には後のLP盤にたどり着くまでに、試行錯誤がありました。LPよりサイズがやや小さい10インチ盤がありました。フランク永井の初期アルバムに「魅惑の低音」シリーズがありますが、これが10インチ盤です。14集まででました。この試行錯誤の時代はいまだステレオにはなっていません。LP盤で、技術も整いステレオ時代に突入します。
 この迷いの10インチ時代は、相変わらず流行歌の盛んでした。ビクターからは「魅惑のオールスターズ」が15集でました。他に「花のステージ」(25集まで)「オールスターズ歌の星座」「歌の花束」などが出ているのですがどれほど出たのかは、まったく不明です。
 今手元にあるもので、今回紹介したいのは「花のステージ」です。第3と第4の2枚だけあります。
 いずれも1060年の発売で、10曲づづ入っております。当時コロンビアなどの他のレコード会社からは売れている歌手の主に単独名で「花のステージ」シリーズを出しているのにたいし、ビクターはオムニバス盤でした。
 第3集は、NHKの宮田輝アナが歌の紹介をしています。ビクターが当時売り出したい歌手と曲をアッピールしている感じです。
 フランク永井が市丸、三浦洸一、神楽坂浮子と歌う「東京踊り」が入っています。
 第4集は普通に10曲が入っているのですが、違いがあります。それは、フランク永井に「高原のラブ・コール」が入っています。この曲は時期や局名は不明ですが、ラジオで放送して知られた曲です。
 つまり、シングルで出ていない曲が採用されています。
 リストは後述しますが、ビクター側の採曲基準、発売コンセプトまでは判断できません。
 山本富士子とか津川雅彦といった映画俳優が歌手として歌っているのが目につきます。幾人かは、名も存じ上げない、もちろん歌もです。
 聴いていて声も良く、曲もいいのがあるので、それなりに時代に浸ることができました。

花のステージ第3集
01_帰っちゃいや(藤本二三代)
02_さすらいの舟唄(鶴田浩二)
03_八丈恋歌(愛川ルミ子)
04_むすめ炭坑唄(桝井幸子)
05_東京踊り(フランク永井/市丸/三浦洸一/神楽坂浮子)
06_はぐれ鴎(川ルミ子)
07_知らぬ港の娘さん(佐々木潤)
08_土曜日の夜(山本富士子)
09_花の民謡温泉(明石光司)
10_新ソーラン節(三浦洸一)

花のステージ第4集
01_高原のラブ・コール(フランク永井)
02_銀座の歌姫(藤本二三代)
03_しょってるぜ(川村淳)
04_東京ロカンボ(生田恵子)
05_誕生日の招待(津川雅彦)
06_国境超えて馬車は行く(三浦洸一)
07_黄色い月は今日も出た(朝比奈愛子)
08_からす鳴いてる(天城英雄)
09_青いなぎさ(川村京子)10_おけさギター(曽根史郎)

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