フランク永井が出るよで出ない映画「真昼の罠」と「大当り三代記」

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 前回の記事で触れたテーマの続きです。
 フランク永井が活躍していた古い時代の話です。1961年12月28日に神田共立講堂で第3回日本レコード大賞のセレモニーが催され、ここでフランク永井の「君恋し」が大賞を受賞しました。
 フランク永井はレコード大賞が創設された2年前の第1回の時には、水原弘の「黒い花びら」と「夜霧に消えたチャコ」で同点決勝を争い、大賞は水原にゆずり、作曲賞・歌唱賞を得ています。
 ちなみに、翌年には「月火水木金土の歌」で作詞賞、その次の年には「赤ちゃんは王様だ」で歌唱賞、1973年の15周年記念の回では記念賞、亡くなった2008年年には第50回特別功労賞を授与しています。
 フランク永井が「有楽町で逢いましょう」を歌ったのは1957年で、レコード大賞ができる前でした。この時期は一気に世で人気を得たことから、寝る間もないどほどの多忙をきわめました。
 本業の歌手として、テレビ・ラジオで引っ張りだことだったうえに、全国公演をこなし、映画や舞台でも大活躍をしていました。

 舞台や映画についてはときどきこのブログで紹介しております。前回記したのは「大当り三代記」と「真昼の罠」です。前者はまさにレコード大賞の年、1961年のものです。後者は1962年に封切りです。
 ちなみにこの大映制作「真昼の罠」は、人気に定評があった黒岩重吾の作品です。実は、ちょっとややこしいのですが、同名で1960年の映画があります。こちらは、松竹制作で、新人八木美津雄監督の推理アクションものです。ささきいさお主演です。
 フランク永井のレコード「真昼の罠」は1962年のリリースで、ジャケットに「大映映画「真昼の罠」主題歌」と明記されています。裏面の松尾和子の「黒い愛」も主題歌になっています。
 そのようなことで、映画を観てみました。ところが期待に反し、クレジットも主題歌をまったく確認できなかったというわけです。どのような事情かはわかりません。
 同じく全回記しましたように「大当り三代記」です。これもVHSにもポスターにも、出演者として「フランク永田」役「フランク永井」の記述は見当たりません。こちらはかろうじて居酒屋でのシーンで「こいさんのラブ・コール」の演奏が聴けるというのが慰めでした。
 当時はこのようなことがザラではないまでも、あっても当たり前のような時代雰囲気でした。

 余談を少しだけ。当時は関西勢によるドタバタな喜劇の絶頂期ではなかったのかともいます。出演者の顔ぶれがすごいです。「番頭はんと丁稚どん」「団地親分」といい、当時の常連は、伴淳三郎、芦屋雁之助、大村崑、曽我廻家五郎八、曽我廻家明蝶、花菱アチチャコ、ミヤコ蝶々、榎本健一、三木のり平、森繁久弥、浪花千栄子、ミヤコ蝶々、渋谷天外、藤田まこと、渥美清といったメンバーです。
 彼らがそれぞれ個性を芸で爆発させます。大げさな表情を見せますが、やや下品なところもあるのですが、本性丸出しと言ったところが芸なんですね。共通しているのは根っからの人情家で、悪者がいないという感じです。
 悪者はいないのだが、がめつさ、嫉妬深さ、欲たかり、カネへの執着といった、庶民にありがちな、政治による貧困の裏返しとしての側面をモロ出しします。
 そして、他人(ひと)以上に強がり、見栄っ張りを隠しません。つまり奥ゆかさとか思慮深さとかとは無縁ときてます。
 どの舞台でも共通して起こる事件は、私の勝手な分析によれば、早とちり、勘違い、思い過ごし、決めつけ、早飲み込みによります。そして、たいていは、途中で自分の愚かさに気づくのですが、絶対に素直に謝ることをしません。意地を通して、話をさらにややこしくします。
 こうしたことが、劇場にきている観衆の気持ちを砕けさせ、笑わせ、泣かせ、物語に入り込ませます。最後はちゃんと仲直りをして収まるのが定番だから、安心して鑑賞できます。
 関西喜劇の素晴らしさは、朝ドラでもあったと思うが、庶民がどうにも立ち向かえない政治の荒波のなかで発生する、心のうっぷんやもやもやを解消する一つの形を創造したことではないかと思います。

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このページは、文四郎が2021年5月25日 15:32に書いたブログ記事です。

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