ムード歌謡の帝王フランク永井が登場しないムード歌謡研究者の書籍とは

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 1月26日の朝日新聞の「ひと」欄をみました。「昭和のムード歌謡を研究する芸人~タブレット純さん」という記事です。
 この「ひと」欄は、2012年に私も紹介されたことで、興味ある方が登場したらなるべく観るようにしています。
 タブレット純さんについては、ムード歌謡関係の書籍をいくつか出しているということで、名前だけは存じ上げていましたが、それ以上知りませんでした。
 コラムの記事は朝日新聞の芸能・文芸関係の大御所である小泉信一さんが書かれています。私のときもそうでした。映画寅さん「男はつらいよ」とか最近ではアイヌの話題とか、記事を書いておられました。
 たいへん興味をひく内容なので、一部紹介させてただきます。
 【甘くせつなく、ささやくように歌う。男と女の恋物語やネオン街の情景を描く「ムード歌謡」。東京の銀座や赤坂など舞台になった街を訪ね、歌が生まれた時代背景や世相を研究している。
 「コロナ禍でつぶれたスナックやクラブもあり、胸が痛んだ」...
1960年代の高度成長期。「人々を殖やしたのは、ふるさとへの望郷歌でなく、都会的で洋楽色の濃いムード歌謡だった」と言う...】
と、素晴らしい内容でした。
 ご当人は27歳のときに、和田弘とマヒナスターズのボーカル欠員募集に応募して、田渕純としてしばらく舞台で歌っておられたとのことです。
 マヒナスターズといえば、フランク永井と同じビクターの所属で、いくつものフランク永井の恩師吉田正の作品をヒットさせています。
 また、彼は昨年に「タブレット純のムードコーラス聖地巡礼」という書籍を出版されたとのことです。
 ここまで知ってしまえば、彼をフォローしてみようという気にならないわけがない。ということで、これならと彼の著作「タブレット純音楽の黄金時代レコードガイド~素晴らしき昭和歌謡」という書籍を注文して読ませていただいた次第です。

 本の内容はご自分が持つラジオ番組で、話しながらかけたレコード紹介の文字起こしがベースでした。
 いつフランク永井は登場するのかと期待を膨らましつつ、読み進めたのです。ところが、終盤になっても登場する気配はありません。
 ということで、私的な私の趣向によるきわめて変更した期待には応える内容ではなかったのです。
 ただ一か所、ご自分が所属した和田弘とマヒナスターズの曲はいくつも触れています。そのくだりで、吉田正を紹介するときに「彼の作曲にはフランク永井さんの「霧子のタンゴ」があります」とひとこと登場します。
 現在にムード歌謡を語る方々は、なるほど、すなのか、とつくづくと思わされました。
 タブレット純さん自身、私の年代とは異なります。だから注視するポイントが、同じムード歌謡を扱っても違うのですね。
 書籍をみてそれを確信したのですが、私の年代の一つ下からの視点の傾向があるのです。
 ひとつは、曲作りのスタッフのレコード会社専属制度への離反意識です。作曲家吉田正、作詞家佐伯孝夫、編曲家寺岡真三などはビクターの社員として制作にあたっており、相当の例外を除いて他のレコード会社の歌手への歌の提供は禁止されていたのです。
 これは映画俳優も当時はそうでした。ニュー・ミュージシャンという人々は、それに猛烈に反発していって、独立した自由な勝負を志向していき、日本に新しいジャンルを作り出した功績があります。
 さらに、聴かせるターゲットを若者の層にあてたことです。多少は若者への迎合があるともいえますが、その若者の多くは、いわゆる演歌という分野のメロディーを極端に嫌いました。
 演歌臭さをなくした曲作りを意識して、その後の分野を切り開いたのは事実です。ロック、フォーク、グループ・サウンズなどです。
 そして、この系統は当然のごとく、一人の並外れた歌唱力というのにも反発し、グループやペアなど複数の人が、身体を揺り動かしながら合唱するのに魅かれていく傾向です。
 ビクター・オーケストラとかの演奏ではなく、そのグループがギターなど楽器を持ちながら独自に演奏までするようになります。
 タブレット純さんの話や各方向もおのずと、そちらを向いているということです。
 だから、フランク永井に限らないのですが、当時の歌手は、歌唱がうまく、個性があり、いちど聴いたら耳に長くこびりつくような味わいがありました。ただ、テレビ時代の前の歌手であるため、ビジュアル的には動きが少なく、現在のと比べたら相違がはっきりしています。
 私の場合は、偏向がもう改まることがないほど固まってしまっていて、若い歌手のテレビ映像を観ていても、うるさいだけで、せわしない動きには耐えられません。
 いつものことですが、また横道にそれましたが、それにしても、ムード歌謡の若い研究者が紹介されることは大歓迎です。

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このページは、文四郎が2021年2月 8日 14:52に書いたブログ記事です。

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