「戦後四半世紀電波から流されたホームソング」が出版されたが、フランク永井はどう登場するか

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 同書は東京ラジオ歌謡を歌う会の石井久夫さんが自主出版した貴重な書籍である。
 ラジオ歌謡に関する画期的なデータブック。「ラジオ歌謡」は戦後にNHKの大阪と東京の両方の曲から放送された番組名である。だが、このデータブックでは、ラジオ歌謡に限らず「ABCホームソング」「三越ホームソング」「八大朝の歌」「夢であいましょう」「ヤンタン今月の歌」で流された曲をカバーしている。「ABCホームソング」「ヤンタン」が終了した1972(S47)年までの全曲が扱われている。
 さらにNHKがラジオ歌謡の終了につづいて放送し、現在も続いている「みんなのうた」については、平成の終りまでをリスト化している。
 研究者にとっては、垂涎の書といえる。
 総計1898曲について、作詞、作曲、歌手のすべてが一覧できる。再放送された記録もまとめられている。そればかりか、音源は残されているか、どんな賞を得たか、発表された解説は存在するか、カラオケが可能か等々の詳細な情報もはいっている。
 テレビが始まるまでの娯楽の主流の一つであったのはラジオだ。ラジオから流される歌は日本中から歓迎された。だが、現在までその全容が調査されたことがない。個別にはいろいろと局所は話題になったことはあるが、その全容を知ることはできなかったのが、この書籍で埋められたといってよい。
 この書籍の一つの特徴として、本表では、東京発と大阪発の区別が明示されていることだ。NHKもその時期の当初は東京(JOAK)と大阪(JOBK)が競っていた。朝日放送は「ABCホームソング」は有名だ。
 編者は地域的な流れの特徴、時代変化に伴う曲の特徴などをも詳細に考察している。
 どの番組についても、放送局自身が資料を押さえておらないケースがほとんどで、ファンの方々が細々と記録したり、覚えておられたりしているのを、編者はそうとうな長い期間をかけて丹念に収集して実現したものである。
 時間的な制限と壁は厳しく、当時の歌を整理するのにはおそらく現時点が最後になるかもしれない。そうした意味で、日本の大衆文化である叙情歌、童謡、唱歌等の一覧は、長く後世に残る記録といってよい。編者の気高い姿勢と意気込みについて敬意を表する。

 さて、この書籍でフランク永井はどのように登場するのであろうか。
 歌手別の索引でフランク永井の項をみると一瞥できる。

  フランク永井
   S31.11〈A〉公園の手品師/S32.7〈A〉すぐに盆だよ/
   S33.4〈A〉こいさんのラブコール/S33.8〈ラ〉アイスクリームの夜/
   S34.7〈ラ〉いつの日あえる/S34.9〈A〉鈴懸の頃/S39.3〈A〉あふれる朝の/
   S40.7〈A〉麦わら帽子の子守唄/S41.6〈八〉雨傘/S42.1〈A〉赤いバラ/
   S46.10〈A〉こいさん恋唄

 このように、11曲が登場している。有名どこは「こいさんのラブ・コール」「公園の手品師」だろう。<A>とはABCホームソングから放送されたという意味。
 この他で、レコード盤として出ているのは「鈴懸の頃」「こいさん恋唄」で、曲が発見されてCDで初リリースされたのは「すぐに盆だよ」「麦わら帽子の子守歌」「紅いバラ」だ。2009年「歌声よ永遠に~フランク永井のすべて」。
 「アイスクリームの夜」「いつの日あえる」については残念ながらラジオ歌謡関係者に楽譜が保存されているが、音源は残されていない。
 なお、索引には登場しないが、1963(S38)年にNHKみんなのうたで放送された「さあ太陽を呼んでこい」という曲がある。石原慎太郎作詞、山本直純作曲。初出はNHK放送児童合唱団が歌っている。これは2年後の再放送時は西六郷少年少女合唱団と立川澄人が歌っている。
 この歌をフランク永井は1963年にレコード発売しているが、何故か話題にのらなかったようだ。倍賞千恵子、ポニージャックス、友竹正則といった歌手のレコード発売の記録がある。つまり競作なのだが、こうした子供向けの澄んだ歌唱はいくらうまく歌っても、本道扱はされなかったものと思える。
 「八大朝の歌」で1966(S41)年6月に歌われて「雨傘」については、レコード会社に音源は残されているようだ。フランク永井作品が次に発売される際に登載されることを願うのみである。

 「戦後四半世紀電波から流されたホームソング」について興味があるかたはご一報くださればと思う。

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コメント(1)

文四郎様
「戦後四世紀電波から流されたホームソング」著作編集の石井久夫様の情熱がひしひしと伝わる素晴らしく貴重な書籍ですね。勿論育ての親・矢萩さんのご苦労も解る努力の積み重ねによる画期的な一冊だと感じます。
あの時代、ラジオから流れるホームソングは正に大衆の愛する音楽で、今もなお、東日本大震災後からは再びラジオを愛する人が増えたと思います。
このような書籍の編集は資料集めが本当に大変だったと思いますが...関係者の方々の使命感の強さに私は頭が下がります。

本当にご苦労様でした。そしてありがとうございます。

NHKの「みんなのうた」は現在も人気で、いろいろなヒット曲も出ている継続番組として受け継がれている音楽番組ですね。良いものは続くもので本物は確実に次世代に繋がるという証明でもあると信じます。「音楽」は、人が生存してゆくことになくてはならないものだと知らせる書籍の誕生に大喜びの私です。
「DVD」も楽しく観させて頂きました。ありがとうございます。 松山 小野寺京子

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このページは、文四郎が2020年8月 1日 15:44に書いたブログ記事です。

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