今年のNHKラジオ深夜便フランク永井特集を聴く

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 フランク永井の祥月。今年もNHKは放送してくれた。3時台「にっぽんの歌こころの歌」コーナー、こころに残る往年の名歌手として、14日にパートⅠ、28日にパートⅡ「フランク永井」特集が放送された。アンカーは深夜便に今年から配属という山下信アナ。
 深夜便のよさは、第一に落ち着いたていねいな語り。静かにきっちりとひととなりをそつなく紹介してくれる。2回のパートで1つを構成しながらも、それぞれ1回聴いただけで十分に良さを前面にだしているところが優れている。
 第二の取り上げる曲は毎年微妙にことなりながらも、ファンの動きをとらえている点だ。1日目はデビュー時のヒット曲を11曲とりあげている。音源は当時の録音を採用している。主に、ビクターから近年に発売された「日本の流行歌スターたち」と「シングルA面全集」。
 ヒット曲は後日にステレオ録音されたり、セルフカバー的に編曲が新しくしたりしたものもあるが、初期のものが採用されたのはイイ。
 「有楽町で逢いましょう」「場末のペット吹き」「東京午前三時」「夜霧の第二国道」「羽田発7時50分」「西銀座駅前」「ラブ・レター」「東京カチート」「君恋し」「霧子のタンゴ」「東京ナイト・クラブ」。
 山下アナは「西銀座駅前」に思い入れがあったとのこと。確かにこの曲は当時聴く人を驚かせた。フランク永井と恩師吉田正。その吉田と最強のコンビであった作詞家の佐伯孝夫。このユニットの作品で「〽ABC、XYZ...それがオイラのくちぐせさ...」という歌詞。それを吉田のメロディーが大胆に聴く人にぶつける。フランク永井が絶妙に歌う。これは皆が聴いて耳に残り、口ずさんだのだが、フランク永井に匹敵するカバーは長くでなかった。後にいろいろな歌手が挑戦はしたが、多くは遠慮気味か引くかだ。とてもかなわないのだ。
 文四郎的には、聴いて揺さぶられるのは「東京午前三時」かな。戦争で首都東京は野になった。それがわずかな期間できらびやかな都会に復興していく。1964年のオリンピック開催あたりの時期がひとつの目標。それに向かって高度成長を突っ走っている時期。
 街の表は優先的に洗練されていく。しかしひとたび一本横道に入るとまだまだ闇市のにおいが漂う。夜の東京は昼に見えない猥雑な姿を現す。「〽あの娘きままな流れ星...」。都会に出てきたばかりの田舎者の文四郎は、この歌を聴くと鮮明にその当時を思い起こす。
 2日目はフランク永井の残した曲の、ジャンルの幅広さに注目して選ばれたもの10曲。
 「16トン」「13800円」「こいさんのラブ・コール」「夜霧に消えたチャコ」「赤ちゃんは王様だ」「秋」「ふたりだけのワルツ」「WOMAN」「あなたのすべてを」「おまえに」。
 ここでは「秋」「WOMAN」が近年の流れとして評価していいのではなかろうか。選曲者のセンス。「秋」は先に紹介した「日本の流行歌スターたち」で初デジタル化されたもの。しかも当時シングル盤はモノラルだが、同時期に別途ステレオ録音されたのを収録した。これが紹介された。
 「WOMAN」は近年大ヒット(とはちょっと言いすぎ?)。仕事時間中にNHKラジオをかけっぱなしにしていることが多いのだが、この曲が流れる。山下達郎人気は衰え知らずだが、フランク永井はいい曲を残したものだ。MEG-CDでこれが復刻発売されたのは2017年。若い年代に注目された。そしてLPも発売されるに至った。
 「こいさんのラブ・コール」はフランク永井の関西モノ人気のはしりの曲。この曲の作曲家大野正雄は今年87歳でお亡くなりになった。こころからご冥福をお祈りする。フランク永井に関西モノを多く書いてくださった。
 「赤ちゃんは王様だは日本レコード大賞歌唱賞を授賞した曲。当時何度も毎日のようにラジオで流れた。しかしこれは梓みちよの「こんにちはあかちゃん」というとんでもないビッグ・ヒットに越された。やむを得ないがフランク永井の幅広い歌にも、卓越した歌唱をするという実力をみせつけたものだった。
 この盤については文四郎的には別の思い入れがある。そのように人気の歌なのだが、かんじんな盤の現物が手元にないのだ。この歌は「フランクおじさんといっしょ」というLP、同名タイトルのソノシートにも納められ、シングル盤的なソノシートも出された。EP版もちょっとデザインを変えただけのもので多数が出ている。
 データブックの編纂のために可能な限り盤を収集したのだが、上記のいくつかのは手に入ってもEP盤は出てこない。表裏のジャケットはあっても盤がない。ところが、実はつい最近ヤフオクでその盤が出された。フランク永井のファンはこうした実情を知っていて、この盤はかつてない記録的な高額がついた。フランク永井のファンの熱情というものの深さをあなどってはならない。現在のような時点でもこうしたことが展開されているのだ。
 さて、もうひとつ、今回の放送で注目したのは「あなたのすべてを」だ。周知のごとくこれは佐々木勉の名曲だ。著名な何人もカバーを出している。フランク永井のは名手宮川泰が編曲を手掛けたもの。何といっても発売された1985年はフランク永井が舞台を降りた年で、これが最後のレコードとなった。しかもこの年は佐々木が若くして亡くなったときでもある。
 この曲を取り上げた選者に拍手したい。フランク永井のこの曲は他のカバー歌手のと比較(曲がいいだけに他の歌手のどのカバーもすごくいい)してもすごいのだが、聴いていて思いがあふれてしまうのは三番「〽こんど逢えるのはいつの日かしら...」だ。

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このページは、文四郎が2019年11月 2日 14:20に書いたブログ記事です。

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