【番外編】希代のヒットメーカー小林亜星「昭和は輝いていた」での放送

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 フランク永井との接点がある方々を紹介するのが本筋なのだが、小林亜星については特別な接点はないようだ。ただ、フランク永井が活躍した同時代に、歌の世界で異様な光を放った作曲家の一人が小林亜星であることから、番外編として取り上げてみた。
 小林亜星はしばらくテレビなどにでることはなかった。どうしているものか、と思っているところに「武田鉄矢の昭和は輝いていた」という人気の番組で、小林亜星が取り上げられてそこで久しぶりに彼の健在を確認できた。
 昭和の流行歌作曲家には、フランク永井の恩師である吉田正や古賀政男、遠藤実、船村徹等々多くおられる。以前にも上げたことがあるだが、著者が大変気になる方がいる。それが別項で取り上げた「夜霧よ今夜も有難う」の浜口庫之助、「男はつらいよ」の山本直純と、今回の小林亜星。
 小林亜星で真っ先に挙げられるのは都はるみの「北の宿から」かな。詞は阿久悠。編曲はフランク永井の曲も多く手掛けた竹村次郎。日本レコード大賞を得ている。...かな、というのは亜星の名をファンが知るのは、そのコマーシャルソングの多さではなかろうか。
 1960年代から1970年代は亜星のコマーシャルソングが圧倒的に多く、しかもどれもが印象深かったからだ。それらのいくつかは現在でもどうどう?と流されている。CMは企業の宣伝で、実は実態とは無関係に強引なこうありたいという願望を詞やメロディーで、テレビの映像にかぶせて流すもの。
 CMは企業にとってみれば、顧客にこう見られているという縛りでもあり、そうあらねばあるいはそのイメージを壊してはならぬという強い努力目標になる。顧客はCMのイメージからその企業を想像して、購入する製品にかぶせて期待をするのだから、大したものだ。
 それゆえに、CMを作り、それが「ヒット」するというのは、作曲者や制作者にとっては非常に重いものだ。これを多数手がけて成功させるというのだから、亜星の能力は並外れたものでない。
 番組の司会武田は、本人に妙な質問をする。「ヒットのコツは何だ」と超絶偉人にとっては超企業秘密?を。だが亜星はパッと隠すことなく答える。それは次の三つだと。「バンで始まらない」「一番高い音は一か所だけに」「フレーズ最後の音をファやドに」。
 曲は好きだが曲作りには完ぺきにうとい筆者にしてみれば、???なのだが、聞いた武田は「よし、仲間に自慢で話してみよう」と。
 亜星の顔はコンパスで書いたような丸顔だが、コマーシャルに自身が出演したりしていたことから誰もが知っていた。これをダメ押ししたようなのが「寺内貫太郎一家」。1974年向田邦子脚本のテレビドラマに主演出演して人気者になった。
 彼の映像から見る印象では、偉くなってもお高く留まるようなことを知らない素直な人。だから、ご本人は気が向くまま行動し、発言する。人それぞれで好き好きだろうが、このあたりが、気さくでいいのではなかろうか。それを象徴するようなことがある。
 ひとつは日本著作権協会(JASRAC)の内部で公金不正運用が発覚したことがあった。このときに亜星は永六輔、野坂昭如らとともに厳しく指摘をしたのだ。またときにある作曲家の曲が自分の作った曲を剽窃しているのではとして話題になったこともある。歌は多くの大衆のこころの応援歌だ。これに泥を塗るようなことは黙って見過ごせないという感覚が伝わる。声をあらわにすることもある。どっちの味方か分からないマスコミは内容ではなく、声のあらわという無意味な形態をとりあげて騒ぐ。。。
 もうひとつは、彼がエッセイとして綴った「あざみ白書」(後に「軒行灯の女たちに改題」)。「資料は正確に、オチは荒唐無稽に」書いたというのだが。これなぞ、並みの努力で書けるような代物ではない。実に亜星らしい。

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コメント(3)

文四郎様

いつも楽しく拝読しています。
小林亞星氏の件に関して「あざみ白書」の「資料は正確に、オチは荒唐無稽に」の言葉で彼の不思議だった人となりが理解できたような気がしています。
亜星さんの音楽性はとても素敵で、私の大好きな楽曲やCMソングが多くありましたので...今回の「文四郎日記」は大変興味深く読ませて頂きました。
いつもいつもセンスの光る文章をありがとうございます。 kyoko

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このページは、文四郎が2019年7月 6日 16:44に書いたブログ記事です。

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