映画「西銀座駅前」の上映。今村昌平監督作品でフランク永井も出演

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 フランク永井映画月、4本上映されたわけだが最後の紹介は1958年今村昌平監督の初期作品「西銀座駅前」。いうまでもなく、フランク永井の大ヒット曲「西銀座駅前」にあやかって作られた映画。
 営団地下鉄丸ノ内線「西銀座駅」が開業したのが直前の1957(S32)年。これが相次ぐ地下鉄網の発展で、7年後の営団地下鉄日比谷線が銀座に駅をつくる。この際に駅が「銀座駅」に統合される。歌「西銀座駅前」は、そんなその後の展開を知る由もなくできた。
 「〽ABC XYZ これがおいらの口癖さ...」という歌。佐伯孝夫の虚をつく歌詞に恩師吉田正が曲をつけた。都会のど真ん中である銀座。溢れるエネルギーが、夜の焦燥にからむ。
 フランク永井はどう歌いこなせるか、というガチの勝負曲。ところがフランク永井は、この挑戦を真正面から、何のてらいもなく、ストレートで歌いあげてしまう。「そんなことを口癖にしているヤツなんて、どこにもいないだろう」などと、ぶつぶつ言いながらも、この曲を強烈な印象で受け入れていった。
 当時の社会的な流れで、歌がヒットすると映画が作られる。この曲については、後の大監督である今村昌平に振られた。降られても当然イヤといえない。何とか脚本を書いて2週間程度で撮影を済ましてしまったようだ。
 日劇での舞台も公演されたと聞くが詳細は分からない。ただ、フランク永井本人も登場し歌を歌っている。他に盤のB面で「第三倉庫」の朝倉ユリ、渥美清、由利徹らが出演した舞台だったようだ。時期も映画上映とかぶさっていて、銀座周辺はこれでもちきりだったんだろう。
 さて、映画だが今村による脚本では、やはり戦争をひきづっている。二人の子を持つ重太郎(柳沢真一)。妻は西銀座駅前の薬局経営。重太郎は南方戦線に従軍中に、漂流したチャリ島でサリーと恋仲になる。これが何年たっても忘れられない。夢か妄想か現実かの区別がときどききかなくなるという病もち。
 彼の友に獣医(役西村晃)、小沼正一といった面々がいて、治療には浮気が一番と、まぁ猛烈にけしかけるところが、おもしろい。というか、フランク永井映画によく登場する西村晃は、全身でバカバカしさに取り組んでいる点がすごいのだ。
 幻想と現実をそのまま映像にしたようなコミック映画だ。若い山岡久乃が妻役とサリー役で出演しているのも貴重だ。
 友に扇動されて薬局の隣の文具店のユリと二人だけになる、状況チャンスができる。だが、夢と現実の間をさまよる重太郎は...。とりとめもない夢と幻想なので、観終わっていったい何が、この映画の言わんとしたことだったのだろうと、思ったりするが、これはこの映画に通用しない、といったところだろうか。
 巨匠今村昌平の作品はDVD化された。この映画は1時間足らずで、当時も何本立てかの一作品で扱われたと思うが、DVDでも「盗まれた欲情」とあわせて発売されている。
 フランク永井は歌も歌っているが、映画のシーンのところどころに登場して、さりげなく状況を紹介しているという、不思議な役どころ。映画の説明ではこれを「ジョッキー」と言っている。今での言うナビゲータなのだろうが、ジョッキーにそうした意味はあるのだろうか。ディスク・ジョッキー(DJ)は音楽をかけながら、さまざまな話を語って聞かせる。それと同じ使い方なんだろうな、などとつまらないことを思い浮かべながら、楽しんだところでした。

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このページは、文四郎が2019年7月 1日 08:29に書いたブログ記事です。

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