BSフジ土曜エンターテインメント「浜口庫之助~素顔と真実時を越えた名曲の全て」を観る

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 つねづね、昭和歌謡における異彩というか、たいへんユニークな作曲家として私的に(つまり勝手に)注目をしているのが、浜口庫之助、山本直純、小林亜星。
 もちろんフランク永井の恩師である吉田正やスタンダードな遠藤実、古賀政男といった歴史に名を残す作曲家はいうまでもないのだが、上記ご三方は何か妙な親しみを感じる。それはおそらく彼らの生きざまなのかもしれない。
 テレビ番組で特集が組まれるたびにじっくり観させてもらう。この度は4月20日にBSフジで組まれた浜口庫之助~素顔と真実時を越えた名曲の全て」について触れたい。
 浜口庫之助の生涯の活動を、実にみごとにまとめあげた2時間番組といえるのではなかろうか。しかもいままで私的にだが見ていない珍しい映像も交えてあった。そして、彼の作った歌を歌った歌手が勢ぞろいで紹介されていた。
 ゆえに、見ても小さくて判別できないのを承知で番組のシーンを撮影したのをわんさか並べてみた。
 浜口の作った歌は裕次郎が歌った「夜霧よ今夜も有難う」はストレートというか、流行歌の線をまっすぐに押さえたような歌だが、これはむしろ少ないのではないだろうか。こうした線よりも、ちょっと違い、いちど耳にしたら、あれっと感じ、耳にここちよく張り付くようなのが多い。これが彼が追い求めた曲調なのかと思う。
 番組で紹介された曲をみると、それがよくわかる。
 黄色いさくらんぼ(浜口庫之助ほか)/僕は泣いちっち(守屋浩)/バラが咲いた(マイク眞木ほか)/人生いろいろ(島倉千代子)/愛のさざなみ(島倉千代子)/星のフラメンコ(西郷輝彦)/夜霧よ今夜も有難う(石原裕次郎)/涙くんさよなら(浜口庫之助)/恍惚のブルース(青江三奈)/もう恋なのか(錦野旦)/空に太陽がある限り(錦野旦)/愛して愛して愛して愛しちゃったのよ(浜口夫妻)/涙と幸せ(江利チエミ)/へんな女(水原弘)/有難や節(浜口庫之助)...
 「黄色いサクランボ」「バラが咲いた」「愛して愛してあいしちゃったのよ」などはその最たるものと感じる。いちど聴くと頭の中で勝手に何度もリピートされる。水原弘の「へんな女」などは、実にばかばかしい曲なのだが、彼の歌唱のうまさもあるが、聴けば妙に楽しくさせる。
 浜口は若い時からバンドを組み彼自身がボーカルで歌っていた。だが、自分が歌ってきた歌のほとんどが洋楽で、これは本当に自分が歌いたい曲なのだろうかと疑問を感じるようになる。なら、自分で満足いくものを作る側になろうと、作曲に仕事のウエイトを移していく。
 最後まで寄り添った夫人が証言する。いつでもギターを手にしていた。生活のことごとく、何気ない会話のひとことひとこと、飲みに行ってもそこで話されるあれこれ、それらを常に曲との関係でつながることを頭に持っていたと。
 多くの作曲家もそうであるようだが、浜口はそれを実際に曲にして適切な歌手に歌わせて、視聴者の気持ちにつなげている。
 作曲家はしかし自分の思うものだけを作り続けるのは難しい。関係者からの依頼を受けてそれに対応して作る必要もある。映画のテーマ曲とか歌手やレコード会社の求めとかある。当然その場合でも見事な対応をするのが、さすがの作曲家だ。
 青江三奈が歌った「恍惚のブルース」は有名だ。
 さてフランク永井にも提供している。1967(S42)年の一枚のEPの表裏。「風と二人で」「明かりを消そうよ」。いずれも聴けばユニークな雰囲気を歌詞でもメロディーでも実現されている。それなりに完成した曲だ。だがヒットを得ることはできなかった。
 それはなぜだろう、と考えながら幾度か聴いてみる。やはりビクターがフランク永井に付けてきた色と合わなかったのではなかろうか。レコード会社が歌手を売り出すときに、イメージ展開を欠かすことはない。それが成功してヒットを出し、歌手の名も広がるのだが、これが新しい展開の障壁になることもある。
 フランク永井の場合は実際は実の幅広い分野に挑戦していて、それぞれの分野の実勢を残してもいるが、ファンの方はどうしても作られた色に寄ることが多い。その歌手の全体像を客観的に見て評価し支援するということは主ではない。私的な趣向がすべてに優先される傾向がある。それは大衆文化の強みでもあるので、ここをとやかく言ってもしかたない。
 フランク永井については、都会派ムード歌謡、低音の魅力、カバーにめっぽう強いなどだろうか。そうそう、カバーでは錦野旦の「もう恋なのか」を歌っている。フランク永井が舞台を降りて30年を超える。今となって残された遺産を整理してみると、ファンの気持ちはほとぼりが冷めて、ようやく、当時ヒットはしなかった曲であっても、冷静に目を向けられる。
 そんな思いを巡らせてくれる、浜口庫之助番組であった。

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このページは、文四郎が2019年5月 5日 13:04に書いたブログ記事です。

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