追悼! ジャズの名人前田憲男、フランク永井と残した3枚のアルバムを聴く

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 素晴らしいジャズ・ピアノの演奏者でかつポピュラー曲の編曲者でもあった前田憲男が亡くなった。ご冥福をお祈りいたします。
 【ある人にとっては「モダンジャズ三人の会」やウエスト・ライナーズの一員として戦後日本のモダン・ジャズ・シーンの興隆を支えたピアニスト、またある人にとっては世紀の珍盤『円楽のプレイボーイ講座』を世に送り出したヒップな作編曲家、はたまたある人にとっては「ミュージックフェア」、「題名のない音楽会」などの有名TV番組のテーマ曲を手がけた巨匠・音楽監督。少なからずも日本のジャズというものに関心を示している人であれば、この「前田憲男」というジャズメンの名を様々なところで目にし、質量共に無尽蔵なるその仕事ぶりに驚かされ続けているのではないだろうか。半世紀以上に亘りジャズ界のみならず日本の音楽界をリードし続ける名ピアニスト、トップ・アレンジャー、前田憲男】
 上の紹介文はMHB&BOOKSの「特集-前田憲男の世界」での記載だ。前田は好きな音楽の世界に生涯を捧げた。きっと十分に満足した日々であったと思う。
 前田が最初にフランク永井の作品を手掛けたのは、1963(S38)年「はてしなき恋」の編曲である。作詞作曲はジャズ仲間の鈴木道明である。トランペットの演奏から始まる。ジャズそのもののうきうきする作品になっている。
 次いで、1973(S48)年の「君恋し~フランク永井ニニ・ロッソと唄う」である。この「君恋し」自身は当時「夜空のトランペット」などで全世界に名を馳せたイタリアのジャズ・トランぺッターとNHK紅白で共演したときの編曲だ。
 大晦日、アッと驚かせた。フランク永井はイタリアに飛んでアルバムの吹き込みをした。そこではニニ・ロッソのトランペットを活かした「君恋し」をムーディーに編曲している。レコード大賞を得た寺岡真三の編曲も最高なのだが、前田の「君恋し」も大変印象深いものだ。トランペットの良さを引き出し、よりジャズ風な仕上げになっている。世界に通用する実力が発揮されている。
 このアルバムでは、さらに「誰よりも君を愛す」「アカシアの雨が止むとき」「君待てども」「雨に咲く花」「夜のプラットホーム」の編曲を手掛けている。いずれも大ヒット曲なので皆が耳にしている曲なのだが、前田にかかるとこれが別の側面をもって鮮やかによみがえる。
 フランク永井の抑えた歌唱もいいのだが、やはり前田の突出した腕が光る。
 前田はこの後に、1978(S53)年にタンゴのアルバムを手掛ける。「フランク永井~夢のタンゴ」。これはフランク永井がタンゴの世界でも卓越した歌唱をしているのが、全体のムードは前田の編曲に負うところが大きい。前田は決して聴く人の期待を裏切らないという印象を受ける。
 ジャズでとの頂点を築き上げたのは1981(S56)年の「オール・オブ・ミー~フランク永井スタンダードを歌う」である。これはフランク永井が当時ジャズ界の第一線で活躍している仲間と、これぞという好きな曲を歌いこんだもので、自由に楽しく赴くままに演じた名アルバムだ。
 技術陣もこのときは最高のメンバーが協力して、現在流行のハイレゾ化のテストで音源が使用されたほどだ。ビクターからハイレゾ作品として初期に発売されている。
 前田はジャズ仲間である猪俣猛や服部克久、中村八大、山本直純、近藤進らとともにさまざまな公演を行った。小さな会場でも催しがなされ、直接彼のピアノ演奏も聴いたことがある。フランク永井の曲はそこでは聴けなかったが、彼の演奏の見事さだけは耳から今も離れない。

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このページは、文四郎が2018年12月 1日 17:54に書いたブログ記事です。

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