2018年12月アーカイブ

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 いよいよ2018年が暮れようとしている。平成が終わり来年は新たな年号になる。世は明るくないのだが、フランク永井ファンにはうれしいニュースがある。
 フランク永井を世に出したビクターから年明け(1月9日)に「日本の流行歌スターたち」というシリーズのCDが出る。この1枚目を飾るのが「フランク永井-有楽町で逢いましょう~追憶の女」。しかも、この中には未発表の曲が入っている。
 「さあもう一度キッスしよう」である。谷川俊太郎作詞服部公一作曲の作品だ。このコンビで第5回日本レコード大賞特別賞を「月火水木金土日の歌」で得ている。ビクターの担当ディレクターがこの度、長く眠っていた音源を発見して、よみがえられせくれたものである。
 今回のフランク永井CDは確かにフランク永井のセレクションではあるのだが、曲にはなかなか聞けない秘めた当時の人気曲が選ばれている。ファンを喜ばすようになっている。
 今回の企画シリーズは、ビクターの戦中・戦後の歌謡曲の歴史をきらびやかに飾った歌手たちを登場させている。シリーズ名のように「日本の...」という表現や、ジャケット写真のように日本語が出ていない英語表示になっている。
 これは世界をターゲットにしていると思える。すでに「流行歌」「歌謡曲」は世界に通用するし、カラオケもそうとうの普及をしている。その日本の歌手についても興味はつきない。その歌手たちが当時発売したレコードは世界にも誇れるレベルのものだ。歌手は歌もうまく、世界が聴いても全く遜色ない。
 昨年暮れに、The Midern Enka、The Era of Ryukoka、Influences of War、Japanese Retro Hitsといった欧米向けと思える出所不明のシリーズを紹介したが、今回の「日本の流行歌手たち」はこれに似ている気がするが、よくわからない。
 今回のシリーズについてはすでにレコード店から予約を受け付けている。リリースの紹介によれば「日本の流行歌・歌謡史上に煌々と輝き続けるスター歌手たちの新編成のベストアルバムが登場!」として「昭和の初期から流行歌界を牽引していたビクターだからこそ実現できる、珠玉のカタログ企画全15タイトル」とのこと。
 フランク永井の紹介では【言わずもがな、戦後日本の歌謡曲史の偉大な足跡を残した大スター。「有楽町で逢いましょう」「君恋し」「おまえに」などのビッグヒット多数。「魅惑の低音」と称される美声でいまなお聴く者をしびれさせている。昭和30年代のヒット曲を中心に、B面曲ながら名曲として誉れ高い楽曲、そして最近になって発見された未発表楽曲「さあもう一度キッスしよう」など、初CD化曲5曲も収録!過去作品の焼き直しではなく、新たな視点で選曲した、ファンが泣いて喜ぶ新鮮な全曲集!】とのことである。
 現在このシリーズは15タイトル決まっていて、第2弾は2月発売。その後も続くかもしれない。
 収録曲はネットで調べてほしいが、下記にこのシリーズを記す。
(1) フランク永井-有楽町で逢いましょう~追憶の女
(2) 松尾和子-グッド・ナイト~夜がわるい
(3) 藤本二三代-好きな人~祇園小唄
(4) 榎本美佐江-十三夜~後追い三味線
(5) 神楽坂浮子-明治一代女~三味線フラフープ
(6) 小唄勝太郎-天東京音頭~明日はお立ちか
(7) 佐藤千夜子-波浮の港~君恋し
(8) 生田恵子-東京ティティナ~銀座マンボ
(9)徳山璉-侍ニッポン~隣組
(10) 藤本二三吉-祇園小唄~唐人お吉小唄
(11)久慈あさみ-黄色いリボン~女豹の地図
(12) 轟夕起子-腰抜け二挺拳銃~お使いは自転車に乗って
(13) 暁テル子-東京シューシャインボーイ~ミネソタの卵売り
(14) 四家文子-銀座の柳~天国に結ぶ恋
(15) 市丸-天龍下れば~三味線ブギウギ
 個人的に嬉しいのは、藤本二三代、神楽坂浮子が第一弾で入っていることだ。この二人ばかりではないのだが、今回のセレクションでおそらく初めてまとまった「全集」CDが出たのではないだろうか。歌がうまいのに姿がよく可愛かったことから、何か自主規制されたようなやっかみがわくほどである。
 上記15名にはまだ男性歌手が二名だけだがこれから登場する歌手にも期待がもてる。
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 前回にカラオケ店で歌えるフランク永井の曲を紹介した。
 カラオケの演奏曲はビクターから他に出ているものとして、1988年に発売されたCD-BOX「魅惑の低音-フランク永井大全集」の6枚目にカラオケがある。「東京カチート」「好き好き好き」が入っている。
 1983年にレザーカラオケが発売されたときの最初の盤を購入した。「フランク永井~ユアー・リクエスト20」である。「旅秋」が発売された年でここに入っている。
 1976年にビクターはLP「SJV-863-あなたが唄うフランク永井ビッグ・ヒット」を発売した。まさにフランク永井のヒット曲を12曲納めている。
 カラオケが普及していく社会の流れに乗って、この時期はテープ商品があったが、そこにはボーナス・トラックのようなかたちで1、2曲入っているのがあった。テープでカラオケだけというのは記憶にない。8トラックというのが流行していて、対応商品が相当出たと思える。本人歌唱と同じ数だけカラオケもあるという造りが多かったと思うが、8トラックのフランク永井カラオケ商品については、当方に知識がないので、残念だが不明である。
 さらには、この時期にCDGというようなメディアの企画が登場した。DVDはご存知のように映像、CDは音声のみ。CDに画像が付録でついたようなものがCDGで、現在それを再生できる装置はほとんど見かけない。8トラック再生装置のような、カラオケでの使用に向けた装置があった。その後ラジカセにその機能が付いた。これはテレビとケーブルでつないで使うもので、その対応商品がCDGとして各社から発売された。ビクターからも何枚か発売された。
 当方にもフランク永井ものを含めて数枚あるが、曲はやはりヒット曲に寄っている。画像は現在見れば期待を大きく下回るレベルで評価以前というのが妥当かな。
 上記で紹介したカラオケ演奏曲はすべてビクター音源である。
 カラオケというか世には自分で存分に歌いたいという個人やグループが無数にある。前回に紹介したのもその一つである。そこで昔からフランク永井の曲を積極的に歌っている著名なグループがある。おそらくその最大のところは「横須賀懐メロ会」ではないだろうか。
 ここは筆者が編纂したフランク永井データブックの作業に当たっても大変お世話をいただいたところである。ここは今も積極的なカラオケの普及に取り組まれている。何度かyoutubeの紹介をしたところでもある。
 同会が運営するサイトにはフランク永井のカラオケ演奏曲のリストも紹介されている。なんと64曲が紹介されている。しかも、これはこれまでに紹介したフランク永井のヒット曲(DAMやJOYSOUNDなどの曲以外)としてである。
 すると、ビクターやカラオケの提供する曲とあわせるとおよそ100曲になることになる。フランク永井歌コンの関係で話題にしたように、フランク永井のカラオケ曲が少ないということで始まった話題だが、100曲もあるということはそこそこの数に及ぶことになる。「横須賀懐メロ会」で独自に演奏曲を作ったり集められたものが、大きな光彩を放っている。圧倒的なパワーといえる。フランク永井のオリジナル曲が400曲程度だから、およそその四分の一だ。
 ここで、前回紹介したものも含めた全リストを紹介する。演奏の違いからダブりもある。洋楽の含む。カバーもあるが、それを除いても100曲を超えている。
  1.11時(イレブン)過ぎから*  2.78回転のSPレコード*  3.Those Days Of Yesterday  4.Woman
  5.アイスクリームの夜(ラジオ歌謡)  6.ウナ・セラ・ディ・東京  7.おまえに
  8.こいさんのラブ・コール  9.さようならアイコさん*  10.そっとしといてあげるから*
  11.だから泣けるんだ  12.たそがれシャンソン  13.たそがれのテレビ塔  14.たそがれ酒場
  15.つかの間の恋*  16.ネオン酒*  17.ばらの刺青(ペリー・コモ)  18.フランス航路  19.ふるさとの風
  20.みれん酒*  21.ラブ・レター  22.わかれ*  23.わかれ(ギターバージョン)  24.哀愁ギター
  25.哀愁の海  26.哀愁の熱海駅  27.愛のセレナーデ*  28.愛のブルース*  29.逢いたくて
  30.逢いに来たのに  31.羽田発7時50分  32.雨のメリケン波止場*  33.雨の国道7号線  34.俺は流れ星
  35.俺は淋しいんだ  36.俺は涙を知らない男  37.加茂川ブルース  38.夏の終りに  39.街角のギター
  40.季節はずれの風鈴  41.泣いちゃった  42.泣くなサキソフォン*  43.君待てども  44.君恋し
  45.月影のささやき  46.公園の手品師  47.好き好き好き  48.幸せって奴は  49.高原の山荘(ロッジ)
  50.国道18号線*  51.妻を恋うる唄  52.札幌発最終便  53.若い潮*  54.愁夜*  55.初恋の山  56.初恋の詩
  57.女には涙がある*  58.場末のペット吹き  59.振り向けばひとり  60.新東京小唄  61.生命ある限り*
  62.西銀座駅前  63.青い国道  64.千島桔梗  65.戦場の恋(ビクターカラオケ)*  66.大阪ぐらし
  67.大阪ろまん  68.大阪無宿*  69.追憶  70.追憶の女(おもいでのひと)*  71.冬子という女
  72.東京カチート  73.東京しぐれ  74.東京ダーク・ムーン  75.東京ナイト・クラブ  76.東京午前三時
  77.東京無情  78.湯の町デイト  79.当たって砕けろ  80.届かない手紙*  81.悲しみは消えない
  82.悲恋のワルツ  83.望郷(ぺぺ・ル・モコ)  84.霧子のタンゴ  85.面影のひと  86.夜の海岸線
  87.夜間飛行*  88.夜行列車  89.夜霧に消えたチャコ  90.夜霧の十字路  91.夜霧の巡視船
  92.夜霧の第二国道  93.有楽町0番地*  94.有楽町で逢いましょう  95.遊侠一匹  96.流れの雲に
  97.旅秋  98.林檎ッコ  99.淋しい街  100.涙なんか  101.冷いキッス  102.恋のビジネス特急
  103.恋はお洒落に*  104.恋遍歴*  105.恋夜*  106.六本木ワルツ
 フランク永井の歌を唄ってみたいと、そのカラオケを探しておられる方は、まず上記のリストを見てみたらいかがだろうか。これでも自分が探しているのは見つからないという方もおられるかもしれない。台湾で歌われているという「捨てられた街」は入っていない。
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 カラオケを楽しんでいる人は大変多い時代。「ひとりカラオケ」というのも流行っている。カラオケは仲間で言って交流する場のような時代もあったが、今やその文化も多様化している。機器やソフトの拡充から携帯を使ったカラオケがあり、また映像こみでyoutubeに代表される映像サイトにアップして自分の歌唱を拡氾するというのもある。カラオケは日本人の発明で、今や世界中で楽しむツールにまで広がっている。
 そのカラオケ演奏で最初に用意されたひとつが、フランク永井の「夜霧の第二国道」といわれる。大変名誉なことなのだが、そのフランク永井のカラオケ、つまり歌唱のはいっていない演奏曲が少ないということが、ファンから話題になる。歌いたくても、歌うカラオケが提供されていないのが不満だというわけだ。
 筆者にときどき「何々という曲のカラオケはあるのだろうか」という問い合わせがくる。当然だがやや聞く相手が違うのだが、フランク永井のファンとしては、ただ分からないでは済まない。ということでときどき他のファンに聞いたり、調べたりしてみることになる。このブログの記事でも何度かそれを書いたことがある。
 
 先日知人から「瑞穂松原なつめろ会」の12月例会に参加したというお話を伺った。毎月開いているという東京多摩地方の任意サークル。この当日のレジュメを見せていただいた(写真右)。
 なんと42人がおのおの2曲を披露するというすごい会。よく見たらなんとなんとフランク永井の曲が4曲もあるではないか。しかも左上にジャケット写真まで。4曲とは「国道18号線」「おまえに」「冬子という女」「街角のギター」である。平均したた、どなたかが、フランク永井曲を1~2曲歌うようだ。
 全国に存在する無数の歌愛好会であろう。そのひとつのサークルでこのように親しまれている。

 話はもどり、さしあたって、ネットの情報をみてみた。DAMとJOYSOUNDの情報があった。当然曲の提供会社は他にもあると思えるが、この2つは大手で現在はインフラが充実していて、リアルタイムで利用者のデータを分析、整理されている。どんな曲がどれほど利用されているか。ここでは「曲数はどうなのか」がテーマなので、双方の提供している曲を整理してみると次のようなリストになる。
  1.Those Days Of Yesterday  2.Woman  3.ウナ・セラ・ディ・東京+ 
  4.おまえに-  5.こいさんのラブ・コール*-  6.そっとしといてあげるから
  7.つかの間の恋  8.ラブ・レター*-  9.愛のセレナーデ  10.愛のブルース
  11.逢いたくて  羽田発7時50分*-  12.俺は淋しいんだ*-  13.加茂川ブルース-
  14.季節はずれの風鈴  15.君待てども+  16.君恋し*-  17.公園の手品師*-
  18.好き好き好き-  19.幸せって奴は  20.妻を恋うる唄-  21.初恋の詩-
  22.場末のペット吹き-  23.西銀座駅前*-  24.赤坂の夜は更けて+ 
  25.大阪ぐらし-  26.大阪ろまん*-  27.大阪無宿  28.追憶  29.冬子という女-
  30.東京カチート-  31.東京しぐれ-  32.東京午前三時*-  33.届かない手紙
  34.悲恋のワルツ  35.霧子のタンゴ-  36.夜霧に消えたチャコ*-
  37.夜霧の第二国道*-  38.有楽町で逢いましょう*-  39.旅秋  40.冷いキッス
  41.恋はお洒落に  42.恋遍歴  43.六本木ワルツ  44.東京ナイト・クラブ*-
  46.銀座の恋の物語*+  47.銀座ブルース*+
 [+]の記号があるのはフランク永井のオリジナル曲ではない。他の歌手のヒット曲なのだが、フランク永井もカバーとして発売していてそれが好評であるがゆえに、準オリジナルの扱いがされているようだ。「君待てども」とか「銀座の恋の物語」が入っているのは興味深い。
 また、カラオケではデュエットはかかせない。フランク永井は松尾和子とゴールデン・デュエットを組んで、数々のヒット曲をだしたが「銀座ブルース」はそのひとつ。いつか、カラオケ店で「国道18号線」とか「11時(イレブン)過ぎから」を聴いた気がしたが、上記リストにない。他の他からの提供だろうか。
 ちなみに、ビクターから現在公式に「カラオケ」音源として発売されているものは「歌カラヒット-フランク永井」(3点)「フランク永井-カラオケDVD」(4点)の2シリーズで、前者は[*]、後者は[-]がついている曲だ。後者のDVDは海外旅行時にもっていって、旅先でプレーヤーがあればどこででも使えるようになっている。無印はカラオケ提供会社から提供されたもので、音源はビクターからあるいはオリジナルで作ったものと思える。
 10月に大崎市で開かれた「フランク永井歌コンクール」を訪れたときも、カラオケ曲の少ないことが話題になった。上記リストのおよそ50曲を多いとみるか少ないとみるかは、見方で何とも言えないが、昭和歌謡を背負った他の歌手については聞くところによれば、思わぬようなレアな曲まであるようだ。それを考えればフランク永井の曲はもっとあってもいいと思う。
 曲の発売当時大きなヒットにはならなかったものでも、聴く人にはそれぞれの生活体験からの各自の思い入れと結びついている。この何物にも代えられない自分だけの感動と思い入れがその曲への愛着となる。それがその曲を歌いたい深い動機にもなる。可能であれば、ビクターから可能な全曲を提供してほしい。誰であっても、これはという好きな曲がある。これができる環境が拡充されていくことが、ファン層を広げていくことになるはずである。
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 2018年もあとわずかを残すだけになった。大晦日はNHK紅白歌合戦が放送される。が、筆者はここ数年見ていないので、きっと今年も観ないかもしれない。が、いつも情報を寄せてくれる友人からこの紅白についての今朝連絡があった。
 週刊誌に特別企画の紅白記事がでていて、ここにフランク永井も登場するよと。今発売されてるのならと、すぐに買いに走って読んでみたわけである。
 読んでみたら、なかなかイイではないか、ということで紹介したい。
 「今年の紅白には、もうついていけない」ので、改めて「これこそが紅白だ!」というのを企画し、これを開催せよ、という記事だ。
 「紅白は国民的行事ではなかったのか」。最近のはだらだらと長く、知らない歌手が知らない歌を歌っていて、観る気がしない。人からおよそ不当に徴収したカネをふんだんにつぎ込んだ、ファッション・ショーか、とまで周囲では批判している声を聴く。NHKの意図がどっか向いている、自己満足に陥っているとも言われて、ついうなずいてしまったこともある。
 紅白への出演が歌手にとって誇るべき偉大な勲章であっただけに、真剣だった。だが、今や紅白出場は何の光にもなっていない。すでに国民から見放されている状態なのだ。
 この記事を読んだら、どうもそのように感じている人も多いようだ。
 ならば、ということで、この週刊誌の編集部では、どんな番組なら観るものが納得するのかと知恵を絞って、その出演者と歌をしぼり、司会や審査員までリストアップしてみたようだ。
 近く映画『男はつらいよ』新作が封切られる。主役の渥美清はすでに亡くなっているが、過去49本の映像資産がある。寅さんの出演シーンはこの遺産が利用されるに違いない。これほど多くの映像があれば、いまどきだから新たなセリフも自然に演じられる。
 NHK紅白歌合戦も今年は69回を数える。フランク永井が最後に出演したのは、1982(S57)年の33回だから、およそ前半の時期に当たる。ちなみに1957(S32)年の第8回から連続で出場している。当時は26回の出演が最長として話題だったものである。
 この記事では紅白出場者、おのおの26組を厳選している。特別に橋幸夫と吉永小百合のデュエット「いつでも夢を」まで選ばれている。「歌手は本業ではない」として紅白の要請には答えなかった石原裕次郎や鶴田浩二をあげているのもイイ。井上陽水、大瀧詠一といったオファーがあっても己の主義から断った人気エンターテナーの名も挙がっている。
 フランク永井もそうだが、江利チエミや西城秀樹等々今はない人たちも、そうとう入っているのだが、寅さん同様映像はどうにでも準備できるだろう。西田佐知子も藤圭子も観てみたい。
 まあ、NHKでなくてもいいわけだ。そう考えればこの企画は夢とは限らない。確かに国民的な歌や歌手が薄くなったのは事実であろう。だが、圧倒的な支持と賛同を得た当時の熱い経験をした国民は、まだまだ元気に生きて日本を支えている。
 原点に帰った紅白があってもいいのではないのだろうか。
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 素晴らしいジャズ・ピアノの演奏者でかつポピュラー曲の編曲者でもあった前田憲男が亡くなった。ご冥福をお祈りいたします。
 【ある人にとっては「モダンジャズ三人の会」やウエスト・ライナーズの一員として戦後日本のモダン・ジャズ・シーンの興隆を支えたピアニスト、またある人にとっては世紀の珍盤『円楽のプレイボーイ講座』を世に送り出したヒップな作編曲家、はたまたある人にとっては「ミュージックフェア」、「題名のない音楽会」などの有名TV番組のテーマ曲を手がけた巨匠・音楽監督。少なからずも日本のジャズというものに関心を示している人であれば、この「前田憲男」というジャズメンの名を様々なところで目にし、質量共に無尽蔵なるその仕事ぶりに驚かされ続けているのではないだろうか。半世紀以上に亘りジャズ界のみならず日本の音楽界をリードし続ける名ピアニスト、トップ・アレンジャー、前田憲男】
 上の紹介文はMHB&BOOKSの「特集-前田憲男の世界」での記載だ。前田は好きな音楽の世界に生涯を捧げた。きっと十分に満足した日々であったと思う。
 前田が最初にフランク永井の作品を手掛けたのは、1963(S38)年「はてしなき恋」の編曲である。作詞作曲はジャズ仲間の鈴木道明である。トランペットの演奏から始まる。ジャズそのもののうきうきする作品になっている。
 次いで、1973(S48)年の「君恋し~フランク永井ニニ・ロッソと唄う」である。この「君恋し」自身は当時「夜空のトランペット」などで全世界に名を馳せたイタリアのジャズ・トランぺッターとNHK紅白で共演したときの編曲だ。
 大晦日、アッと驚かせた。フランク永井はイタリアに飛んでアルバムの吹き込みをした。そこではニニ・ロッソのトランペットを活かした「君恋し」をムーディーに編曲している。レコード大賞を得た寺岡真三の編曲も最高なのだが、前田の「君恋し」も大変印象深いものだ。トランペットの良さを引き出し、よりジャズ風な仕上げになっている。世界に通用する実力が発揮されている。
 このアルバムでは、さらに「誰よりも君を愛す」「アカシアの雨が止むとき」「君待てども」「雨に咲く花」「夜のプラットホーム」の編曲を手掛けている。いずれも大ヒット曲なので皆が耳にしている曲なのだが、前田にかかるとこれが別の側面をもって鮮やかによみがえる。
 フランク永井の抑えた歌唱もいいのだが、やはり前田の突出した腕が光る。
 前田はこの後に、1978(S53)年にタンゴのアルバムを手掛ける。「フランク永井~夢のタンゴ」。これはフランク永井がタンゴの世界でも卓越した歌唱をしているのが、全体のムードは前田の編曲に負うところが大きい。前田は決して聴く人の期待を裏切らないという印象を受ける。
 ジャズでとの頂点を築き上げたのは1981(S56)年の「オール・オブ・ミー~フランク永井スタンダードを歌う」である。これはフランク永井が当時ジャズ界の第一線で活躍している仲間と、これぞという好きな曲を歌いこんだもので、自由に楽しく赴くままに演じた名アルバムだ。
 技術陣もこのときは最高のメンバーが協力して、現在流行のハイレゾ化のテストで音源が使用されたほどだ。ビクターからハイレゾ作品として初期に発売されている。
 前田はジャズ仲間である猪俣猛や服部克久、中村八大、山本直純、近藤進らとともにさまざまな公演を行った。小さな会場でも催しがなされ、直接彼のピアノ演奏も聴いたことがある。フランク永井の曲はそこでは聴けなかったが、彼の演奏の見事さだけは耳から今も離れない。

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