関門トンネルの完成を記念する映画「青い国道」の主題歌を歌ったフランク永井

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 1959(S34)年はフランク永井が4本の映画に関係している。「らぶれたあ」「青い国道」「夜霧に消えたチャコ」「俺は淋しいんだ」、いずれも日活作品で出演・挿入歌を歌っている。
 当時の映画から、このたびスカパー衛星劇場(CS)の「幻の蔵出し映画館」として「青い国道」が放送された。まさに幻の蔵出しである。フランク永井フォンにとっては感激、感涙のこととして、この貴重な歴史的なフィルムの放送に感謝したい。
 当時のこうした娯楽の軽い映画は日本映画も変わり時で、モノクロ全盛時代。サイズもテレビでいう地デジ前の4:3に近いサイズが主流。それがカラー化、あるいは映画ワイド化(ビスタサイズ、シネマスコープ等)に変化する時期。「青い国道」は、モノクロ52分、シネマスコープ。
 フランク永井の歌「青い国道」は消してヒット作品ではなかったかも知れないが、映画が封切られた1959(S34)年2月に先行した前年11月にリリースされ散る。映画は、テレビの一時間ドラマサイズで、舞台は関門トンネルをはざむ門司港と下関。関門海峡を結ぶ連絡船で働く船乗りが大海洋を庭とする捕鯨船にあこがれる悲喜こもごもの人間ドラマだ。
 フランク永井はところどころで「青い国道」を歌っているのだが、同時に主役青山恭二の恋人堀恭子を好いているというトラック運転手を演じている。妙な設定だが、つっこんだらきりがなく、この時代の映画は黙って楽しむしかない。
 何か月も遠出をする船乗りに、夫の海難事故にあったことで反対する母。母役は寅さんで長くおばちゃん役を演じた三崎千恵子。ソーセージ工場で働く恋人の堀恭子も彼が遠洋漁業の船にのるのは嫌だという姿勢。それでも青山は遠洋航海へのあこがれは断ち切れない。血気盛んな若者はいつの時代もそうだ。
 これに親父と親しかった船長たちがからむ。うっかり青山はだまされて密出獄する犯罪人の手助けをしてしまいそうになる。それをたまたま見ていたフランク永井はすぐに警察に連絡。海上保安庁かどうかわからないが警備艇が数艘出動して、青山が拳銃でやられる寸前に悪漢たちは捕まる。
 当時の映画資料をみると協賛しているのは大洋漁業。フランク永井はそこのトラック運転手役。フランク永井はデビュー前には米軍の運送に関係し、大型トラックの運転をしていたので、お手のものだ。当時の工場回りばかりか、門司港や大和町漁港、火の山ロープウェイからの景観、下関水族館といった、今ではほとんど文化遺産ともいうべき当時の街の情景が映し出されている。街の風景では高いビルなどなく、遠くまで見通せる景観が、懐かしさを喚起する。
 1958(S53)年、関門トンネルが完成したばかりでそこを走るトラックを映すことで、この映画はうまく世に宣伝する役割を果たしている。ドラマの内容の表現かと最初は思っていたのだが「青い国道」というタイトルはこの関門トンネルをいいたかったのだ。国道2号線、有料のこの間は3.5キロが歌詞にある。
 ちなみに、この曲は作詞が吉川静夫、作曲が豊田一雄、編曲が佐野雅美。ビクター会制作となっている。ビクター会とは何ぞや。
 今ではドラマやCMが大きなプロジェクトとして作られ、その主題歌とか挿入歌、BGMとして歌が依頼制作されるということが多い。当時は「有楽町逢いましょう」がそうした歌だったが、同時に歌が先行して売れると、その歌からのイメージで映画がいくつも作られた。「青い国道」の映画公開の前年、1958年にフランク永井は8本の映画にかかわった。もちろん、この年は新譜吹き込みが40曲とかの状態で、各地での公演、ラジオ出演とほとんど寝る暇もない時期だった。それでも、わかいフランク永井はあのニコニコ顔でねもあげずにこなしたのだった。
 「津軽海峡冬景色」は石川さゆりが熱唱した名曲。これは青函航路の歴史を想起させる。本州と青森をつないだ連絡船はさまざまなドラマがあった。それも1988(S36)年に北海道へ乗り入れる青函トンネルを新幹線がつなぐことで、連絡船は途絶えた。鉄道線はすでにあったが「青い国道」で表現した関門トンネルは道路。2011年には新幹線がつながった。別項で紹介した「でっかい夢」では本州と四国をつないだ橋梁を歌った。日本が昭和の時代に九州、四国から北海道までつながったと言える。
 産業の発展をささえる重要な基盤としての道路や鉄道の整備。その推進と完成をたたえるのに、昭和の流行歌がかかわっていたことを伝える記録として、この「青い国道」は貴重なものである。
 この映画はあと2回の放送予定がある。21日と27日。環境のある方はぜひご覧ください。筆者もその環境がないのだが、いつも窮地を救っていただいているAさんから今回も録画を見せていただいた。こころから感謝を申し上げます。

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このページは、文四郎が2018年11月17日 12:38に書いたブログ記事です。

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