1975年NHKビッグショー藤山一郎と一緒に歌うフランク永井「君恋し」

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 フランク永井が藤山一郎とデュエットした映像は、別項でも紹介したことがあるが、何年か前にどなたかから見せていただいたことがある。
 先日フランク永井ファンとして以前から交流をもつUさんが、その元映像であるものを見せてくださった。うれしい限りで感謝に耐えない。それが、1975年1月にNHKから放送されたビッグショー「藤山一郎」。最近に歌謡専門チャンネルで再放送されたとのこと。
 藤山一郎は複数回ビッグショー主演しているが、この回の番組ではフランク永井がメイン・ゲストであったものだ。藤山が指導合唱団があって、その合唱団の一員になってフランク永井も歌うというシーンから登場する。
 合唱団で何曲か歌った後に藤山と二人のトーク。珍しいアントニオ古賀のギターによる歌唱、日本風の情緒豊かな茶室での風景が飛び込んだりする。
 そうしたなかで、君恋しが歌われるという趣向だ。藤山は戦前学生時代からの人気歌手で、君恋しは何度も歌っている。「君恋し」(作詞:時雨音羽、作曲:佐々紅華)は1929(昭和4)年に浅草オペラの人気歌手の二村定一が歌って大ヒットした曲。
 なので、この番組では当然藤山が歌ったときの編曲でうたわれたし、フランク版ではずされた三番の歌詞入りである。「...燕脂の紅帯緩むも哀しや...」という、たいへん味わい深い時雨音羽の歌詞が楽しめる。
 現代版にするときに、やや難しい表現が大胆に外されたのは惜しい気もするが、この個所をフランク永井が歌ったのもここでなので、大変貴重な映像かもしれない。
 「酒は涙か溜息か」「僕の青春(はる)」「青い背広で」「なつかしの歌声」「青春日記」「東京ラプソディ」「ギターが私の胸で」「浜昼顔」「神田小唄」「影を慕いて」「男の純情」といった藤山一郎の代表曲が楽しめる。
 誰が最初に言ったのか「楷書の歌手」と藤山一郎を表した。言いえて妙というのかも知れないが、確かに藤山は戦前から戦中戦後の声楽界のエース的存在で人気を得た。
 映画主題歌「青い山脈」などは、そのはきはきした歌唱、滑舌のよい通る明るい声は、人々の気持ちを明るくする象徴だった。
 戦後の歌手フランク永井との活動の重なりは少ないのだが、やはり「君恋し」だ。藤山は学生時代から変名で歌いコロンビアと縁が深かった。だが卒業後はビクターに入る。コロンビアは君恋しの作家である佐々紅華と時雨音羽をビクターから引き抜く、などということもあった。
 その後コロンビア時代のコンビ古賀政男がテイチクに移っていたことからそこで活躍する。「東京ラプソディ」などのヒットを重ねるが、ふたたびコンビはコロンビアへ移る。
 藤山と同時代にライバル視されたのはポリドールの東海林太郎。東海林も燕尾服にマル眼鏡に直立不動という姿勢での、味わいのある歌唱を数多く残した。
 そんなことをつらつらと思い浮かべながらの「ビッグショー藤山一郎」の鑑賞を楽しんだ。

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このページは、文四郎が2018年3月31日 12:40に書いたブログ記事です。

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