フランク永井「Woman」のテープ版で得られたボーナス曲がすごい!「めぐり逢いふたたび」の新発見

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 フランク永井が山下達郎の企画でジョイントして歌った「Woman」。何度も話題になっているのでその成立のいきさつとかは別項で見てほしいが、そのテープ版のお話。
 この企画でリリースされたEPは裏面に同じ山下作品である「愛のセレナーデ」とともに、1982年に発売された。同時に同タイトルのLPが発売。LPにはこの時期までのおよそ十年間のヒット曲のカバーとフランク永井がライブなどで好んで歌った「ラブ・レター」(1958:V-41820)を入れた。全曲この時期に吹込みをしたもの。
 フランク永井の後年(1985年に舞台を降りている)の重厚な成熟した歌唱が存分に楽しめる。カバーは元唄を越えているのではと思わせるほど完成度が高い。この時期、フランク永井の声はデビュー当時と比べるとキーがオクターブ単位で下がっている。
 いつも貴重な情報を寄せてきて驚かせているKさんが、今度はLPと同時に発売されたカセット版のボーナスの話を寄せて下さった。なんとカセット版ではLPに収録されていない曲が4曲も追加されているというのだ。
 それは「夜明けの街」「ブランデーグラス」「めぐり逢いふたたび」「霧子のタンゴ・パートⅡ」。先の2曲はご存じのように石原裕次郎がTVドラマ「西部警察」での挿入歌。「夜明けの街」はフランク永井のLPではでていないが、同時期発売のカセットでだけ出されている。「ブランデーグラス」は1977年のLP(「おまえに/おもいやり」SJX-20006)で出ている。
 特筆はまず、杉良太郎が歌った「めぐりあいふたたび」。これは他のLPでもカセットでも見たことがなく、今回初の再発見曲。埋もれていたフランク永井の歌唱がこんな形で浮かび上がったのだ。
 さらに「霧子のタンゴパートⅡ」。これは1977年に開いたデビュー20周年を記念したリサイタルで触れられた曲だ。当時のLPは「輝ける21年の足跡」としてリリースされている。ここではライブでこの曲が聴ける。1番と3番が歌われているのだが、全容は今回初めて分かった次第。このカセットにフルできっちりスタジオ録音したものがでたからだ。
 ちなみに、このリサイタルで第1部の指揮をしたのは寺岡真三だが、第2部はこれも編曲の名手である近藤進。かれが「Woman」に収められているカバーの編曲を担当した。
 「霧子のタンゴ」は1962年、まだデビューしてほどない時期の大ヒット曲。恩師吉田正が珍しく作詞までした曲で、生涯で何度歌われたかしれない。その耳にこびりついているような代表曲のパートⅡなのだが、この正式版を聴けば、さすがに感心する。自分の持ち歌は表現するのに困るのだが、自信というか安定度というか発する音魂のようなパワーが一回り違うのである。
 このようにカセット版のボーナスを中心に紹介したのだが、この「Woman」はフランク永井の後年の歌唱の魅力を凝縮させたものとして、特別なのではないだろうか。廃盤レコードの復刻に力を入れているMEG-CDからも、先にでたシングルを聴いた視聴者からのリクエストに応える形でLPの復刻リリースをしている。
 上記で紹介した曲以外にこのLPには、つぎのような曲が入っている。「サチコ」「氷雨」「メモリー・グラス」「心の色」「もしもピアノが弾けたなら」「男の背中」「忘れはしないでしょう(離別(イビョル)」「街の灯がゆれる」「ルビーの指輪」。
 フランク永井が自らの歌として歌ってきた流れとは若干異なっている曲目だ。恋に破れた女の心情を、重厚な声のフランク永井がどう歌うのか。か細く消え入る女性のつぶやきをどう表現するのか。また、裕次郎や杉良太郎、増位山はまだわかる。だが、ニック・ニューサ、堀江淳、西田敏行、星野仙一、中村雅俊、寺尾聡をさばくのか、興味は尽きない。
 日野美歌や佳山明生で著名な「氷雨」もそうだが、およそ普通にフランク永井が歌ったらどうなるかという予想を、見事に裏切った歌唱に酔ってしまう。「Woman」カセット版はそのような逸品であった。聴かせていただいたKさんに大感謝である。

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このページは、文四郎が2017年12月 9日 10:53に書いたブログ記事です。

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