松尾和子が歌う「君恋し」はいかがだろうか

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 フランク永井の代表曲のひとつである「君恋し」。1961(S36)年のレコード大賞曲。1920年代に佐々紅華(さっさこうか)作曲、時雨音羽作詞で作られた古い名曲である。
 オリジナル曲に与えられるこの「君恋し」が、カバー曲であるのにフランク永井に授与された。聴く者がフランク永井が歌った「君恋し」はとてもカバーとは思えなかったというほど、独自性のある歌唱だったからだ。
 だが、この受賞では編曲の名人たる寺岡真三の功績を忘れてはならない。オリジナルと見まがうばかりのジャズ風のアレンジは、古い日本風な「君恋し」をフレッシュな明るい時代の曲に格上げしたことだ。
 有名な二村定一歌唱のオリジナル曲と聴き比べてみたら、納得できる。
 この「君恋し」はそうした名曲であるがゆえに、多くの歌手にカバーされていて、数えられない。フランク永井にゆかりがありそうな歌手のカバーについては、これまで多く取り上げてきたが、今回は松岡和子ののカバー。
 松尾和子はいうまでもなく、都会的なムード歌謡の女性の代表的存在であった。その卓越した歌唱力に魅力を見出したフランク永井と恩師吉田正がデビューさせた。
 1959(S34)年、フランク永井とのデュエット曲「東京ナイトクラブ」はB面だが、そのA面「グッド・ナイト」で登場した。恩師吉田正の生んだ名曲で今も人気がある曲だ。
 松尾和子はこのデビューから30年後に30周年記念のCD(1988:VDR-1547-松尾和子~私的・昭和歌謡掌史)を出している。当然そのコンサートも行われたと思うが、不案内で記憶がない。しかし、その舞台で披露したと思えるライブのような音源が別途吹き込まれていて、その雰囲気を伝えている。
 この時は残念なことにフランク永井がすでに舞台を降りていた。絶対、必ずといっていい彼とのデュエット「東京ナイト・クラブ」を歌うことができなかった。それがどれほど、残念で、松尾の歌手としての意思に影響を及ぼしたかは計り知れない。
 しかし、残されている30周年の音源には、松尾の歌手としての誇りと意気込みのすべてが注がれている。記念すべきこのときに自分のいままでののすべてをぶっつけなければ、という強い思いが伝わる作品になっている。
 「君恋し」はここで歌われている。かつてゴールデン・デュエットと呼ばれたフランク永井とのデュエットがもうできない。相棒だったフランク永井のヒット曲「君恋し」に、その存念を全部入れ込んだような歌唱だ。
 「...私の身体の中に流れている日本の音楽の美しさ、優しさは幼いころから耳に馴染み、身体で感じ、心で震えた数々の歌の集積だ...このレコーデングのさなかにも、吉田先生はモニタールームから「もっと自然に、もっと丁寧に、もっと優しく」と何度となく注意してくださった。さまざまな音楽・歌を聴き、憶え、そして歌ってきた幸せを、歌のひとつひとつ、フレーズのほんの些細な響きの中にまで表現できたら...至福...」と松尾は言い残している。
 この「君恋し」は、後にビクターから松尾和子の完結版たるCD-BOXが発売されるのだが、そこにも収録されている。
 写真右は専属バンド「浜田清とフランクス・ナイン」をバックに歌うフランク永井。「東京ナイト・クラブ」ポスターは松竹映画とあるのだが詳細は分からない。本当の映画だったのか、映画仕立ての舞台ショーだったのか。
 さて、いよいよ来週21日は第9回フランク永井歌コンクール予選、翌22日は決戦が開かれる。当然の選挙投票日と重なるが、全国のファンの定例のイベントである。盛大に開催される。
 この催しについてBS11の「あのスターにもう一度会いたい」で28日に放送予定とのこと、たいへん楽しみ。
 なお、今月は予定が定かではないのだが、NHKラジオ深夜便で「フランク永井特集」があるとのこと。これも逃さないようにと、こころがけている次第。

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このページは、文四郎が2017年10月13日 18:50に書いたブログ記事です。

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