2015年9月アーカイブ

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 廃盤レコードをCDで復刻し懐かしいを歌をファンに甦らせるMEG-CDから、9月30日新たにフランク永井の28曲が発売される。当時のEPレコードとコンパクトW、いわゆるドーナツ盤で20点クリーンなCD音質で提供されるとの発表がなされた。今年の3月以来2回目の発売である。
 リストは下記に記すが、今回のものは全部モノラルである。つまりデビュー当時からステレオ化がなされる前までの作品で、いま手にすることはほとんど不可能なもので貴重品である。
 フランク永井が流行歌に転向したのは「場末のペット吹き」だが、その前の「グッドナイト・スイートハ
ート」が入っている。これは、デビュー曲「恋人よわれに帰れ」に次いで2番目に発売された曲だ。雪村いづみ「ジングルベル・マンボ」のB面である。この盤は事実上SP復刻である。しかもジャケットは再販時のカラー版が採用されている。たいへんな貴重品。
 このように、ジャケットも当時のままに復刻されるので、ファンにとってはこのうえなくうれしい。この盤のように再販されるとジャケットがよりカラフルで印象がより深くなるように変わることもある。なるべく当時印象が深いほうが採用されている。だが「愛情のれん」のようにSP/EP兼用の初期の文字だけのジャケットしかないものもある。これはぜひともこの機会にファンの皆さんでカラー版のジャケットをお持ちのかたがいればご一報よせていただけたらと思う。
 「ひとり暮らしの港町/泣くなサキソフォン」もSP盤に続いて後にEP盤も発売されたがこれらが現在手に入ることはほとんどない。そういう意味では今回の盤はすべてが同じだ。
 当時は売り出ししたい歌手とのカップリングがさかんであったので、今回はおなじみの雪村いづみのほか曽根史朗、藤本二三代についで、朝倉ユリ、明石光司、市丸、中沢銀司が登場する。また、以前に別稿で紹介したことがある映画主題歌「悲しみよこんにちは」では裏面が利根一郎+佐伯孝夫の名作「白樺の小径」がタンゴ編曲でアコーディオン演奏で入っている。
 さらに拙書データブック作成時に現盤が確認できずに悩んだ「月影のささやき」のB面が「ラブ・レター」の演奏であることが判別できる。同様にコンパクトWで「フランクのクリスマス」という4曲入りだが、これは盤のIDを確認する際にレコード会社が発行する資料に「EV-2013」というのがあって、これと同一なのか別盤があるかの判断を最後まで迷ったものである。現時点では「EV-2013」は発見できないために誤りだったのではないかと考えている。
 そのようなエピソードがいっぱいつまった今回のリリースである。今も全国に多くいるフランク永井のファンの方々も下記のリストをみて、当時のさまざまな状況を懐かしく思いだされることと思う。MEG-CDさんよくぞやってくださいました。
 フランク永井の魅力はいろいろあるけれど、デビュー当時の若い歌声、美しい高音の伸びなどが当時のまま聴くことができるので、発売が楽しみである。

 以下が今回予定されている復刻盤のリストである。

「グッド・ナイト・スイート・ハート/ジングルベル・マンボ(雪村いづみ)」
「ひとり暮しの港町/泣くなサキソフォン」
「からっ風の唄/おーいと呼んだら(明石光司)」
「悲しみよこんにちは/白樺の小径(A.レジャン楽団:アコーディオン演奏)」
「雨のメリケン波止場/灯りを消しましょう(中原葉子)」
「月影のささやき/ラブ・レター(演奏)」
「青い国道/黒いダイヤさん(藤本二三代)」
「有楽町0番地 /好きな人(藤本二三代)」
「夜間飛行/霧の航空灯台(朝倉ユリ)」
「札幌発最終便/古いガス灯の港町(曽根史朗)」
「愛情のれん/入社前祝い(明石光司)」
「恋のビジネス特急/公安さんだよ(曽根史朗)」
「婿さがし八百八丁/道灌ばやし(市丸・中沢銀司)」
「若い潮/初めて知った恋なのに(藤本二三代)」
「恋夜/男の愛情」
「逢いに来たのに/お別れしましょう」
「フランクのクリスマス:ブルー・クリスマス/ジングルベル/きよしこの夜/
            サンタクロースがやってくる」
「3号室は空だった/雨の国道7号線」
「俺は涙を知らない男/夕日の街角(朝倉ユリ)」
「俺は流れ星/夜の海岸線」





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 10月18日にはいよいよ第7回フランク永井歌コンクールが開催される。宮城県大崎市では堤防が決壊するという大きな災害にみまわれたが、開催予定地の松山では大きな被害をまぬがれたことから、予定通り催される(前日は予選)。秋の良い日に、小旅行を計画してぜひとも訪れて楽しまれてほしいと思う。
 さて、10月21日にはCD2枚組「ザ・カバーズ~魅惑の低音 再び」(VICL-64429)の発売が予定されている。すでにレコード店各社では宣伝を開始し、ネット通販各社も大々的に予約の誘いをしている。
 最近のNHKテレビの歌謡番組では、春からの刷新で出場歌手も若い人を積極的に出演させるとともに、歌われる曲も歌手のヒット曲だけではなくむしろ普段はなかなかとりあげられなかったがファンが多いというような曲を、意識的に取りあげる策をとっている。
 そのためにやや慢性化していた番組がけっこうフレッシュな雰囲気をだしていて、ファンを楽しませてくれる。先日は前川清がフランク永井の「西銀座駅前」を歌った。前川清は前川節といわれるように独特の歌唱をするが、多くのヒット曲をもっている。「西銀座駅前」という吉田正と佐伯孝夫のフランク永井のためにひねり出した傑作曲をどうさばくのか、興味をもって観賞した次第。
 内山田洋とクールファイブのボーカルとしてヒットした曲をフランク永井もいくつかカバーしている。最初のLPは1973年「横浜・神戸・長崎/港を唄う」(CD4B-5051)で「神戸で死ねたら」「長崎は今日も雨だった」「そして、神戸」をうたっている。
 今回発売される「ザ・カバーズ~魅惑の低音 再び」では「そして、神戸」と「恋さぐり夢さぐり」を歌っている。「恋さぐり夢さぐり」は、実はデータブック「フランク永井~魅惑の低音のすべて」に記載されていない。新発見ともいうべき曲だ。
 今回の新CDには、データブックに記載されていない曲が他にも何点かはいっている。渡哲也の「日暮れ坂」、石原裕次郎「夜霧の慕情」、松尾和子「恋の旅路の果てなのか」、灰田勝彦「森の小径」である。「森の小径」を歌っていたという記録は発見できなかったためだが、他は主に発表されたのがテープであり、データブック編集時に気づかなかったことによる。「テープ版は、シングルやLPですでに発表されているはずだ」という思い込みによる。
 ここ数年リリースされるCDで、データブック未記載の主な曲はたいていがテープだけの発売のものである。
 今回のCDについて初リリースがテープでなされた曲は、「日暮れ坂」「よおこはま物語」(石原裕次郎)「サチコ」(ニック・ニューサ:後1982「Woman」に)「夜の銀狐」(西条史郎:後に2002「Re-Master VOICE II」に)「夜霧の慕情」「恋さぐり夢さぐり」と、6曲も入っている。
 また、前作「ザ・カバーズ」で加山雄三「お嫁においで」が採用されたが、今回「涙くんさよなら」が入れられた。この2曲は1971年「歌おう心のうたを」の上下4枚LPというレアなアルバムに入っていたもの。
 データブックに掲載があったものでも、初CD化とか別バージョンとかふんだんに入っている。この選曲をみると、企画者の深く強い意志が伝わる。すばらしい作品をありがとう。
 フランク永井の歌のうまさを、現代の人びとにも知ってもらえるように、ヒットした時点の年代についても考慮されているので、ぜひとも聴いてほしい。楽しみな企画である。

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 昨年にフランク永井の「ザ・カバーズ」が出て好評を博したが、今年もその連作ともいうべき「ザ・カバーズ~魅惑の低音 再び」のタイトルで発売される。
 収録曲は下記に紹介するが、この度の曲も胸をときめかすのが入っている。
 小椋佳との異色ユニットで歌われた1983年のLP「マホガニーのカウンター」に納められている「グッバイ・デイ」とか、カセット版でのみリリースされた石原裕次郎「よこはま物語」のカバー、さらに新出の渡哲也「日暮れ坂」のカバーといった初CD化作品が含まれている。
 さらに、フランク永井の先輩灰田勝彦が歌ってヒットした「森の小径」のカバー。「佐伯孝夫リサイタル」でフランク永井が歌ったものを再発掘して納めたもの。そして、何度か過去にも採用された石原裕次郎の「夜霧よ今夜も有難う」の別テイク。加えて、今年2月発売のCD7枚組BOX「フランク永井の世界」で発表された松尾和子の「恋の旅路の果てなのか」の別テイクが、というあでやかさだ。
 今回の企画について、ビクターエンターテインメントではリリースの発表に当たり次のように述べている。
 「聴く者すべてを魅了する魅惑の歌声。フランク永井「ザ・カバーズ」待望の新作。今作は昭和の歌謡曲シーンを彩った名曲のみにスポットを当てた全41曲収。ため息が出るような魅惑の歌声を再び」と。
 ビクターから出される最近のフランク永井作品は、その選曲がふるっている。過去はフランク永井のオリジナルのヒット曲を再編成で出すというのが多かったが、フランク永井の膨大な数におよぶカバーを紹介することで、昭和歌謡の一角を背負ったフランク永井の歌唱力のすごさを追求している。
 幅広いジャンルを巧みに歌いこなしている。洋楽から日本のドエンカ、ニューミュージックへのトライ、懐かしのメロディーから民謡...。そして、埋もれてしまったような曲を発見して積極的に織り込ませていることである。
 CD2枚組「ザ・カバーズ~魅惑の低音 再び」(VICL-64429)は2015年10月21日発売予定だ。
 10月18日は宮城県大崎市松山で、定例の第7回フランク永井歌コンクールが開催される。フランク永井ファンにとってはすばらしい送り物である。

Dusc1-01 ゴンドラの唄
     (作詞:吉井 勇 作曲:中山晋平 編曲:寺岡真三 元唄:松井須磨子)
Dusc1-02 街燈
     (作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田 正 編曲:寺岡真三 元唄:三浦洸一)
Dusc1-03 季節の中で
     (作詞:松山千春 作曲:松山千春 編曲:若草 恵 元唄:松山千春)
Dusc1-04 夢去りし街角
     (作詞:谷村新司 作曲:堀内孝雄 編曲:石田勝範 元唄:アリス)
Dusc1-05 ルビーの指環
     (作詞:松本 隆 作曲:寺尾 聰 編曲:近藤 進 元唄:寺尾聡)
Dusc1-06 日暮れ坂
     (作詞:水木かおる 作曲:遠藤 実 編曲:若草 恵 元唄:渡哲也)
Dusc1-07 よこはま物語
     (作詞:なかにし礼 作曲:浜 圭介 編曲:近藤 進 元唄:石原裕次郎)
Dusc1-08 メモリーグラス
     (作詞:堀江 淳 作曲:堀江 淳 編曲:近藤 進 元唄:堀江淳)
Dusc1-09 Goodbye Day
     (作詞:来生えつこ 作曲:来生たかお 編曲:神山純一 元唄:来住たかお)
Dusc1-10 サチコ
     (作詞:田中 収 作曲:田中 収 編曲:近藤 進 元唄:ニック・ニューサ)
Dusc1-11 忘れはしないでしょう (離別)
     (作詞:吉屋 潤/なかにし礼 作曲:吉屋 潤 編曲:近藤 進 元唄:古屋潤)
Dusc1-12 暗い港のブルース
     (作詞:なかにし礼 作曲:早川博二 編曲:近藤 進 元唄:ザ・キング・トーンズ)
Dusc1-13 さよならをもう一度
     (作詞:阿久 悠 作曲:川口 真 編曲:近藤 進 元唄:尾崎紀世彦)
Dusc1-14 赤と黒のブルース
     (作詞:宮川哲夫 作曲:吉田 正 編曲:近藤 進 元唄:鶴田浩二)
Dusc1-15 かえり船
     (作詞:清水みのる 作曲:倉若晴生 編曲:寺岡真三 元唄:田端義夫)
Dusc1-16 別れの一本杉
     (作詞:高野公男 作曲:船村 徹 編曲:舩木謙一 元唄:春日八郎)
Dusc1-17 夜霧のブルース
     (作詞:島田磬也 作曲:大久保徳二郎 編曲:寺岡真三 元唄:ディック・ミネ)
Dusc1-18 あなたのすべてを
     (作詞:佐々木勉 作曲:佐々木勉 編曲:宮川 泰 元唄:佐々木勉)
Dusc1-19 夜霧よ今夜も有難う
     (作詞:浜口庫之助 作曲:浜口庫之助 編曲:近藤 進 元唄:石原裕次郎)
Dusc1-20 涙くんさよなら
     (作詞:浜口庫之助 作曲:浜口庫之助 編曲:福井 利雄 元唄:坂本九)

Dusc2-01 夜明けのうた
     (作詞:岩谷時子 作曲:いずみたく 編曲:一ノ瀬義孝 元唄:岸洋子)
Dusc2-02 愛の讃歌
     (If You Love Me)
     (作詞:Edith Piaf(訳詞:井田誠一) 作曲:Margueritte Angele Monnot
      編曲:保坂俊雄 元唄:フランク永井)
Dusc2-03 君恋し
     (作詞:時雨音羽 作曲:佐々紅華 編曲:寺岡真三 元唄:フランク永井)
Dusc2-04 希望
     (作詞:藤田敏雄 作曲:いずみたく 編曲:近藤 進 元唄:岸洋子)
Dusc2-05 君待てども
     (作詞:東 辰三 作曲:東 辰三 編曲:寺岡真三 元唄:平野愛子)
Dusc2-06 炭坑節
     (作詞:福岡県民謡 作曲: 編曲:保坂俊雄 元唄:フランク永井)
Dusc2-07 無情の夢
     (作詞:佐伯孝夫 作曲:佐々木俊一 編曲:寺岡真三 元唄:児玉好雄)
Dusc2-08 夜の銀狐
     (作詞:中山大三郎 作曲:中川博之 編曲:近藤 進 元唄:斎条史朗)
Dusc2-09 二人でお酒を [共演:松尾和子]
     (作詞:山上路夫 作曲:平尾昌晃 編曲:寺岡真三 元唄:梓みちよ)
Dusc2-10 昭和枯れすすき [共演:松尾和子]
     (作詞:山田孝雄 作曲:むつひろし 編曲:寺岡 三 元唄:さくらと一郎)
Dusc2-11 思案橋ブルース
     (作詞:川原 弘 作曲:川原 弘 編曲:寺岡真三 元唄:高橋勝とコロラティー)
Dusc2-12 夜霧の慕情
     (作詞:大高ひさを 作曲:野崎真一 編曲:寺岡真三 元唄:石原裕次郎)
Dusc2-13 恋さぐり夢さぐり
     (作詞:Neil Sedaka - Howard Greenfield(訳詞:嶺岸未来)
      作曲:Neil Sedaka - Howard Greenfield 編曲:竜崎孝路
      元唄:内山田洋とクール・ファイブ)
Dusc2-14 そして、神戸
     (作詞:千家和也 作曲:浜 圭介 編曲:近藤 進
      元唄:内山田洋とクール・ファイブ)
Dusc2-15 爪
     (作詞:平岡精二 作曲:平岡精二 編曲:近藤 進 元唄:ペギー葉山)
Dusc2-16 東京の人
     (作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田 正 編曲:近藤 進 元唄:三浦洸一)
Dusc2-17 港が見える丘
     (作詞:東 辰三 作曲:東 辰三 編曲:寺岡真三 元唄:平野愛子)
Dusc2-18 誰よりも君を愛す [共演:松尾和子]
     (作詞:川内康範 作曲:吉田 正 編曲:寺岡真三
      元唄:松尾和子/和田弘とマヒナスターズ)
Dusc2-19 あいつ
     (作詞:平岡精二 作曲:平岡精二 編曲:近藤 進 元唄:旗照夫)
Dusc2-20 恋の旅路の果てなのかV2
     (作詞:佐伯孝夫 作曲:渡久地政信 編曲:- 元唄:松尾和子)
Dusc2-21 森の小径 
     (ライブ録音)
     (作詞:佐伯孝夫 作曲:灰田有紀彦 編曲:- 元唄:灰田勝彦)
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 BSジャパン「徳光和夫の名曲にっぽん」で三田明がフランク永井を語るということで、期待して観てみた。フランク永井のことがコーナーとして番組になることはそう多いわけではないので、注目しないわけにはいかない。
 三田明は何回か紹介しているように、フランク永井と同じ恩師を吉田正とし吉田学校で学んでいる。先輩と後輩の関係になる。三田は青春路線でのイメージが強烈で、大人の路線を走るフランク永井の関係で話題がでることは、いままでほとんどなかった。
 だが、ここ三田も齢を重ねることでそうした話題をすこしずつ話すようになっている。フランク永井と同時期で活躍した曽根史郎、三浦洸一、松尾和子といった面々は第一線の舞台から去り、フランク永井を知り語るものとして現役で残ったいるのが橋幸夫や三田明であるのは確かだ。
 三田は「当時互いに忙しく深く交流ということは少なかったが、フランク永井先輩には年齢も離れた後輩として可愛がってもらった。ポーカーが好きで、自分が大勝したときは先輩に少しは気を遣えなどと冗談を飛ばして笑わせる、たいへん気のやさしい方だった。歌手としてダンディで尊敬している」という。この番組だけではなく三田が近年機会をみては発言していることである。
 数多いとは言えない先輩との接点を通じて三田が当時感じたことをすなおに語っているのだが、三田の人柄がよくわかる。
 聞き手の徳光は知る人ぞ知るフランク永井の大ファン。歌謡番組の司会も多い中でなかなかフランク永井の話題を出す機会がもてなかったなかで、今回の番組ではついに「おまえに」をプロの三田といっしょに歌うという大暴走?までしているのだが、徳光のフランク永井に対する思いの大きさが伝わる。
 さて、「フランク永井名曲集」として、フランク永井の歌の映像がぶち切りで7曲流れた。
 「夜霧に消えたチャコ」「君恋し」「羽田発7時50分」「西銀座駅前」「夜霧の第二国道」「有楽町で逢いましょう」。続いて、「おまえに(三田明、徳光和夫)。
 映像は「テレビ東京」時代のもので平均して35年ほどまえのものだ。これを観るのも感慨がある。それは現在地デジの時代でテレビの映像も音声も極端に進化しているのだが、当時はモノラル(コマーシャルだけがステレオ)で映像サイズも640×480ドットというサイズのものだった。
 特に音声はどんなレベルのテレビでも音が聞こえるようにと、中音を重視していて低音が犠牲になっているもので、例えレコードでは魅惑の低音歌手でもテレビ音声ではだいなしなのだ。男性では高音歌手がもてはやされたのも当然なのだ。彼らや女性歌手はあでやかさが増している。
 まあ、そんなことから当時はファンとしてテレビには出てほしいやら、出れば低音が活かされないのを嘆くやらで、やきもき状態であった。フランク永井自身は出番こそが商売だから表だって嫌な顔は当然できない。だが、ときには裏で嘆いていたとも聞く。筆者としては、テレビも貴重なのだが、レコードでのフランク永井の声をまず楽しんでほしい。絶品である。
 さて、この番組ではもうひとつ見逃せないことがあった。それは朝倉さやというシンガーソングライターが出演していること。この歌手は筆者と同郷の山形出ということはさておいても、以前にラジオで聞いて以来の一押しである。
 番組では岩崎良美の「タッチ」をずーずー弁で歌った。オリジナルの「東京」も歌ったが、民謡で全国制覇をした経歴があるように、声には独特の響きがある。朝倉の歌声はこころに響くものがある。