2015年6月アーカイブ

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 この6月TBS-BS「歌謡プレミアム~三田明」が放映された。三田明とフランク永井が行動を共にするということは、それぞれにイメージづけた方向が異なることから、ほとんどなかったのだ。だが、近年三田明がフランク永井の歌をカバーすることも多いので、この番組もみのがせないと思ったしだい。
 1時間番組で現在の三田明をどう描くのか、ということも気になった。そのあたりを三田自身がどう語るのか。三田明はフランク永井と同じビクターから1962(S37)年にデビューした。
 前年に日テレの番組で歌う美少年として注目されたのを機に、ビクターが誘い、当時の帝王の吉田正に付けてデビューさせたのだ。すでにフランク永井も橋幸夫も、吉田正の先輩の門下生として活躍していた。コロンビアでは舟木一夫が「高校三年生」でデビューしたり、西郷輝彦が「君だけを」で登場し、若い歌手の売り出しでもりあがっていた。
 ビクターは三田が舟木一夫に負けまいとぶつけたと、ここで語っている。会社が用意したマンションに幽閉?され、直接ファンと接したり、恋が芽生えるような接触も禁止され、それでも、窓を開けて近所に集まる親衛隊に手を振ると、大騒ぎをして怒られる状態だったとか、一日に何千通ものファンレターが段ボールで舞い込み返事も書けずに失礼したとかのエピソードが語られた。
 また、三田明が橋幸夫の「潮来笠」をものまねで歌った。これは三田が当時得意とした芸で、テレビで良く見たのもだが、なつかしく甦った。橋のこれを歌うときに、首を左右にかしげる動作とか、甲高い声質をうまく出していてなかなかのものなのだ。
 そして、話題はフランク永井に移るのだが、フランク永井がライブの舞台でよくものまねを上手にして観客を喜ばせていたのだと。第1回の労音ライブ(1964年)でそのようなことを実際に語っている。ビーン・クロスビーにあこがれ、FENを通じて自分自身がアメリカのポピュラー・ソングをまずまねて歌うことで必死で覚えたのだと。そしてディーン・マーチン、ビリー・エクステインらの声を歌って披露して、大喝采をえているのがLPで聴ける。
 三田は当時のこのライブを知っていて、ここから先輩のフランク永井のうまさを知り、客へのプロとしてのサービスの大切さを学んだという。そして敬愛するフランク永井にと「おまえに」を歌っていることの大事さをしる。同じ恩師吉田正をいだき、いまになって、共通を知るということであった。
 こうして、三田明が「おまえに」を披露するのだが、なかなか味を出した歌い方でいいと思った。三田明はかつてよく自分自身でいっていたのだが「吉田門下生の中でいちばん歌がへたで...」と。確かにビジュアル先行で歌っているので、歌のうまさは、作詞と作曲でカバーされているという点がずっとつきまとった。
 長い歌手生活の中でファンは別にして、目先を追いすぐにあきる一般大衆から忘れ去られる時代もあった。三田は俳優業に力点を移すときもあった。しかし、彼は齢が往くにつけてけっして歌も忘れずに、だんだんと味のある歌い方が身についていき、デビュー曲の「美しい十代」も当時の雰囲気をこわさずに、当時よりうまく歌っている。橋のものまねをみごとにするほどの得意な側面も持っている。
 その良さがなかなか引き出せなかったことがあったのだと思うが、彼の歌う「おまえに」はそのいいところがでている。今回の番組ではなかったが、彼は他に「有楽町で逢いましょう」や「霧子のタンゴ」などをカバーして歌っている。彼の実直な性格が歌にはいっているようで、興味のある方は聴いてみたらいかがだろうか。
 そして今新曲に取り組んでいる。喜多條忠作詞、浜圭介作曲「演歌みたいな夜ですね」。

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 フランク永井のデュエットいえば、松尾和子との「ゴールデン・デュエット」に決まっているのだが、過去にテレビで放送されたフランク永井のデュエット映像を紹介してみたい。だが、残念なことに詳細のメモが残っていなくて、詳しいことが不明なためにいままで触れたことはなかったのだが、ご覧いただいている方で情報をお持ちの方から教えただければと思って書いた次第だ。
 写真はランダムだが、松尾和子とのデュエットはLPで2枚出されているので、ファンは全部耳に残っているのだと思える。もう一人は森光子とのデュエット。これは1976年5月30日に放映された「ビッグショー・森光子」からのものと思える。写真は2つともほとんど差がないが、「有楽町で逢いましょう」と「昭和かれすすき」のデュエットだ。
 この番組では細川たかしと桜田淳子も共演しているようだが、NHK-BSで再放送されたときも見ていないので詳細は不明だ。当時リバイバルを歌うのははやっていたし、森光子が舞台やテレビでそうとう歌っていて、ビッグショーがメインかどうかわからないが、後にレコードで発売されている。右の写真。このレコードの収録曲は下記のとおり。

   赤とんぼ/ゴンドラの唄/君恋し/明治一代女/並木の雨/別れのブルース/人生の並木路
   戦友/軍国舞扇/ブンガワン・ソロ/りんごの唄/国境の南(SOUTH OF THE BORDER)
   星の流れに/有楽町で逢いましょう

 「君恋し」はソロだが、これらは映像も残っている。
 NHKの「ビッグショー」にはフランク永井の名で3回出演しているのだが、何といっても残念なことにひとつも映像が残っていないのだという。ただ、3つ目の公演はLPで音声が発売されている。

   1974年4月28日 フランク永井・青江三奈 おとなの子守唄 
   1976年10月10日 フランク永井~あなたに夜のロマンを 
   1977年12月4日 フランク永井~酒・女・そして... 

 「君恋し」がレコード大賞を得て話題になったときに、大先輩の藤山一郎とデュエットした映像が残っている。藤山もこの曲は歌っているので、先輩後輩による珍しい歌唱だ。この番組では演奏は寺岡真三のものではなく、従来の編曲だ。ここではフランク版で外された三番の歌詞をフランク永井が歌っている。おそらくこんな設定でなければ聴けない。
 フランク永井と同時にデビューしてさまざまな番組で共演してきた島倉千代子とのデュエット映像。「あなたと共に」。
 これは1954(S29)年に津村謙・吉岡妙子のデュエットで有名な曲だ。
 実はなかなか探せなくている「あなたが居れば」というのがある。これは似たタイトルの曲でもあり、同じ島倉千代子とのデュエットで1963(S38)年にNHK「きょうのうた」で歌ったとされているもの。西条八十作詞、吉田正作曲の作品だ。
 いしだあゆみとのデュエット映像は「一杯のコーヒーから」。これまた藤浦洸・服部良一の名作で霧島昇と夫人の松原操(ミス・コロンビア)による名デュエット曲。
 青江三奈とは「東京ナイト・クラブ」を歌う映像だ。青江三奈はビクターでもハスキー・ボイスのコンビで森進一との対比で強く推していたもので、フランク永井・松尾和子のムード歌謡コンビとは別の方向であった。そんなことから、フランク永井と青江三奈のツー・ショット自身が大変珍しい。
 八代亜紀とは「東京の屋根の下」の映像だ。1948(S23)年に、作詞:佐伯孝夫、作曲:服部良一、唄:灰田勝彦で発売されたものだ。名作の一曲。

 このようなフランク永井のデュエット曲が残されているが、きっと他にもあるのかもしれない。そうした情報があればぜひとも一報いただけるとうれしい。
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 フランク永井が所属したビクターは、実はそうとう複雑に名前が変更されたりしていて、昨年に「株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント」となった。ちなみに、過去の経緯をみてみると、大雑把に下記のようになる。
  昭和2年(1927年)9月、日本ビクター蓄音器株式会社創立
  昭和20年(1945年)12月、日本ビクター株式会社に社名変更
  昭和47年(1972年)4月、ビクター音楽産業株式会社設立
  昭和59年(1984年)2月、日本エイ・ブイ・シー株式会社設立
  平成5年(1993年)4月、ビクターエンタテインメント株式会社に変更
  平成26年(2014年)4月、株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントに変更
 ビクターといえば、世界的なブランドのビクターがありHis Masters Voice(HIV)で有名なニッパー犬のマークが有名だ。その資本とは無関係ではないため犬のロゴは使用しているが、日本資本で独立した企業である。
 このエンターテインメント事業部隊が、創立45周年の企画として力をいれたのが「パネル・デラックス」だ。これは基本的にビクターレーベルだがRCAなど関係企業のもつレーベルも含め、人気のエンターテナーについて全30巻を作ったものだ。流行歌11巻、ポプラ―14巻、クラシック5巻、豪華特別限定盤となっている。
 流行歌は、次のようなラインアップだ。
  BP-9101-02、森進一
  BP-9103-04、青江三奈
  BP-9105-06、橋幸夫
  BP-9107-08、フランク永井
  BP-9109-10、鶴田浩二
  BP-9111-12、相良直美
  BP-9113-14、日吉ミミ
  RP-9115-16、内山田洋とクール・ファイブ
  RP-9117-18、藤圭子
  RP-9119-20、野村真樹
  RP-9121-22、和田アキ子
 ポピュラーは、二―ル・ダイアモンド、サム・テーラー、カーメン・キャバレロ、ブレンダ・リー、ニ二・ロッソ、ビリー・ヴォーン、ドアーズ、ロシア民謡、エルビス・プレスリー、シルヴィア・バルタン、ホセ・フェリシアーノ、ヘンリー・マシーニ、ハリー・ベラフォンテ、ペレス・ブラードとなっている。
 クラシックは、運命・田園・合唱(ライナー)、未完成・新世界・悲愴(ミュンシュ)、三大ピアノ協奏曲(クライバーン)、安大バイオリン協奏曲(ハイフェッツ)、ショパン名曲集(ルービンシュタイン)。

 32.5×41.5センチの空前の大型サイズで、LP2枚組とスページの説明書(LPと同じサイズ)が1.5センチの箱(BOX)にはいっているものだ。表には演者のカラー写真がめいっぱいというデザインになっている。企画では、この箱自体をパネルにみたてて、部屋の壁に掛けて使うという目論見だったに違いない。
 説明では特別限定の豪華セットとあるのだが、どれほど用意したものかはわからないが、フランク永井のものに限っては、そこそこの数がでたのではないかと思う。だが、購入した方が、これを実際にパネルとして使ったのだろうか。
 写真のように、手元にあるいくつかをあらためて見てみると、パネルとして使うにはちょっと設計上のミスではないか、いや名前はパネルだが実際に使わないのを前提としていたのかもしれないような、閉じたときの状態保持に気が使われていない。置いておくにはそれでいいかもしれないが、立てたりするとちゃんと閉まらないので、ほとんどパネルとしては無理だ。他の盤とのサイズの違いは、なんとも厄介で一緒に置けない、とほほだ。
 また、ぐちったついでに指摘しておけば、箱の中には盤の正方形のLPと説明書が収まるのに、長方形の箱だから空きができる。その空きをほとんど安っぽい発砲スチロールで埋めている。収容曲のリストは、裏ぶたに糊付けを雑に(直角になっていないとか、ノリが全面にないなど)貼っているだけだ。避けたり、破れたり、はがれたり...。
 さらに豪華版を歌いつつも、普通のLPに付いていてあたりまえのような「歌詞」がついてないのだ。購入前にわかっていたら、買ったのだろうかとまで、いってしまえば怒られるかもしれないが、まあ、おもしろいつっこみどころ満載のものだ。

 フランク永井の盤の収容曲は、当然気になるところだが、なかなかイイ。代表曲が1枚に集まっているのはそれでいいのだが、もう一枚の内容には当時おそらくファンが聴きたかった曲をうまくまとめている。
  恋心、あいつ、サントワ・マミー、爪、赤坂の夜は更けて、ラスト・ダンスは私に
  夜霧のブルース、無情の夢、ゴンドラの唄、上海ブルース、新雪、異国の丘
 人気楽曲のカバーと、リバイバル曲だ。これらはフランク永井の曲でもなかなか聴きごたえのある曲ばかりといえて、うれしい。
 フランク永井のパネル・デラックスの表面の写真は気に入った写真で、データブック「魅惑の低音のすべて」の中の写真としても使わせていただいた。