2015年4月アーカイブ

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 通販で定評のあるユーキャンからCD-BOX「フランク永井の世界」が発売されている。サイトにその広告が掲載されたのだが、ここの宣伝は実に丁寧に詳細を紹介している。
 この商品については先にも紹介したが、特記したいのはフランク永井の歌った作品としていままで記録のなかった10作品が載っていることだ。フランク永井のような大歌手ともなるとその作品がいままで出ていなかったというのは、それなりに事情があるのかもしれない。だが、フランク永井が歌ったと思える1960年代から数えても半世紀以上経過していて、事情を知るものがほぼいない。
 まず、その曲を紹介しよう。

  「東京ラブナイト」   (宮川哲夫、豊田一雄、寺岡真三、JVC-150-ビクター歌の花束第8集)
  「上海帰りのリル」   (東條寿三郎、渡久地政信、-)
  「紅屋の娘」      (野口雨情、中山晋平、-)
  「矢車草の唄」     (佐伯孝夫、佐々木俊一、寺岡真三)
  「そして...めぐり逢い」 (荒木とよひさ、中村泰士、竜崎孝路)
  「恋さぐり夢さぐり」  (N.Sedaka/H.Greenfield、峰岸未来、竜崎孝路)
  「意気地なし」     (高畠諄子、中川博之、-)
  「恋の旅路の果てなのか」(佐伯孝夫、渡久地政信、-)
  「お嫁においで」    (岩谷時子、弾厚作、福井利雄、JV-1120-歌おう心の歌~銀色の道)
  「哀しみの愛の日々」  (P.Senneville/O.Toussaint、片桐和子、近藤進、ニ二・ロッソと1970代)

 「東京ラブナイト」はオムニバスのLPで1960年代にでているが手元で確認できていない。「お嫁においで」は同様にオムニバスのLP掲載のオリジナル曲である。「哀しみの愛の日々」はニ二・ロッソとの共演であることから、NHK-紅白歌合戦で共演した「君恋し」を歌った後と思えることから1970年代に録音したが、SJX-133「君恋し~ニ二・ロッソと唄う」に入らなかった曲ではないかと思われる。
 他は、編曲者が不詳のままの曲が4曲あり、突出は「上海帰りのリル」ではなかろうか。「紅屋の娘」もそうだがジャズ調で編曲されていて、ファンなら聴いてみる価値がある。聴いていてフレッシュで、フランク永井によって新たな境地を感じることができる。
 1961年に「君恋し」がジャズ調編曲で多くのひとびとを驚かせたのだが、もしかして「懐かしい日本の名曲の復刻」の企画を実現するときのトライアルの遺物なのかもしれない。当時どこのレコード会社もきそってリバイバルに力を入れていて、ビクターも当時のトップ・スターで歌唱に定評があったフランク永井に提起した。
 「宵闇、迫れば...」で始まるメロディーを当時は誰もが知っていたのだが、フランク永井はその題名を「宵闇せまれば」と確信的に思い込んでいて、絶対にそうだといいはって周囲とカケまでしてみごと失敗したことでも知られている。ちなみに、少額の金品をかけての遊びははやっていて、楽屋や旅の宿でも村田英雄や春日八郎らと一緒になり雨でも降れば、すぐにおいちょかぶだ、ポーカーだとやっていたという。
 横道にそれたが「ジャズ志向のフランク永井のリバイバル」という企画の一環で、さまざまな試行錯誤をしただろうことは容易に想像される。「矢車草の唄」「紅屋の娘」など知れ渡った印象の名曲をジャズ風に変えて歌ってみたのではないだろうか。そうであれば寺岡真三や舩木謙一などのそうそうたる編曲者が手がけたに違いない。だが「君恋し」の秀逸さに比べて、視聴者の印象を塗り替えるほどの画期性を作者として確信をもてなかったことから職人としての立場から白紙=不詳の扱いにしたのかもしれない。
 何せ曲はビクターの会社の看板を背負った名曲で、この歴史的なものにたいしてキズつけてはならない、という気持ちもあったと思える。「上海帰りのリル」にいたっては、渡久地政信が一時ビクターから離れキングにいたときの代表的な作品でもあり、なおさらその意思は強かったと思う。
 確かに「君恋し」は受け入れられ、レコード大賞にまでいった。その陰に埋もれたまま、せっかくの名曲の音源は影をひそめ、しかも編曲者不明であることから、今日まで日の目をみなかったものと思える。
 だが、この度半世紀の時を経て、このCD-BOXの企画者たちはその作品の歴史的な価値を評価して発表してくれた。当時と違い、現在は偉大な歌手への敬意をはらいそのすべての遺産を確かなものとして、このような形で残し、後世にそのままの伝えていくという使命となっている。

 「上海帰りのリル」は沖縄出身のビクター専属の作曲家渡久地政信の作品。彼がさまざまな事情で一時ビクターを離れていたときに、春日八郎の「お富さん」などとともに作成された名曲のひとつだ。渡久地はフランク永井に「夜霧に消えたチャコ」「俺は淋しんだ」「冷いキッス」「流れの雲に」などのほか多数の曲を書いている。
 盟友吉田正との友情で最初にフランク永井の曲を書いたという熱いエピソードもある。とにかく彼の作曲は独特の味わいを持っていて「上海帰りのリル」にも、彼が多重にひそませた音霊がある。それを歌い手がどう理解し表現するかである。
 フランク永井がジャズ風の雰囲気で歌うこの曲を聴いてそのあたりを想像しながら、また戦後のさまざまな悲劇を感じさせるリルを語ってみるのも一趣であろう。
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 ラジオ歌謡をWikipediaでは、つぎのように紹介している。
 【ラジオ歌謡は、1946年から1962年までNHKラジオ第1放送(JOAK)で放送されていた歌番組である。また、同番組で取り上げられた歌曲を指すこともある。もともとの発案は大阪放送局(JOBK)であった。
 戦前、「健全な歌で、国民の音楽文化の啓発を」の目的で始められた国民歌謡が、1940年頃を境に戦意高揚、思想統制の道具とされてしまったことを受け、再び国民歌謡の初心に戻って始められた番組が『ラジオ歌謡』だった。
 また、戦後まもなくヒットした映画「そよかぜ」の主題歌「リンゴの唄」が大ヒットし、貧しさとひもじさにうちひしがれていた国民の大いなる慰めになったのも、番組登場のきっかけになったといわれる。
 発案はNHK大阪中央放送局であったが、やがて東京放送局でも放送されるようになり、800曲近い曲を放送した。うち大阪で制作されたのは180である】
 フランク永井も「アイスクリームの夜」「いつの日逢える」の2曲をラジオ歌謡で歌っている。楽譜は残されているが音源は発見されていないのは残念なのだが、そのような縁で知り合いになれた関係者から紹介されてここ数年、東京での音楽祭を観る機会にあずかっている。
 今年は4月11日に開催された。第9回を迎えた。ここで274曲の歌唱が披露された。今年は新たに発掘された「火の山の歌」「僕のゆめ」「山の男は雲と友達」「雨の旅愁」「花のうた」「月夜の櫓」「合歓木の花咲く頃」「昼の夢」の8曲が歌われた。会は熱心な掘り起しの活動を続けていて、歌唱の復元、そして練習用のカラオケの作成にも力を入れている。すでに、それらは400曲を超え、いくつかはカラオケショップでも歌える。
 音楽祭では会の自慢の歌い手が次々とすばらしい歌唱を見せてくれる。また毎回プロの歌手が歌ってくれるのも楽しみだ。今年は常連の鳴海日出夫、祝太郎に、松村美和子が歌ってくれた。松村はラジオ歌謡に「さくら貝の歌」をはじめ「あざみの歌」など数多く作曲を提供した八洲秀章の長女である。さすがののどを魅せてくれた。
 また、音楽祭を主催する東京ラジオ歌謡を歌う会と親密な関係を持つ日本ラジオ歌謡連盟の工藤雄一会長が、3・11応援歌として創作曲「花切手」(李承信作詞工藤雄一作曲)のコーナーで披露した。
 さらに毎回すばらしいエレクトーン演奏を魅せてくれる長谷川幹人の存在も楽しみに欠かせない。今回も独りオーケストラで「ぞうさん」を演奏してくれた。
 4時間半近くをそれでも足りないというような熱気、一年間のため込んだ思いを練習の成果を爆発させるような勢いを感じる音楽祭であった。
 (写真右は、八洲秀章、松村美和子、下が鳴海日出夫)
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 フランク永井のCDが新たに発売された。タイトルは「もっとフランク~ベスト・オブ・フランク永井」(2015:MIVE-3067)で、発売日は3月25日。発売元は、福岡で独自のユニークな作品を企画発売している「ムジカインドウ」。
 フランク永井のベストCDはこれまでいくつも出されてきたのだが、この度のはいくつかの工夫がなされている。ひとつはデビュー以来の発売順に曲順をおさえていることだ。そのために、初期のものはすべてモノラルの曲になっている。CDは17曲+ボーナストラックの構成だが、うち最初から13曲がモノラルだ。
 フランク永井の初期の作品はほとんどがステレオ時代に移行したときにステレオ盤として吹き込み直しをし、多くはステレオ盤のほうが使われているのだが、この盤では意識的にモノラル盤が使われている。ちなみに「西銀座駅前」だけは、きちんとステレオ盤として再制作していなかった。
 もう一つは、フランク永井の関西モノといってよい「大阪ぐらし」「大阪ろまん」「加茂川ブルース」が入っている。
 さらに、盤の解説と曲の紹介がついている。最近のこの種のCDでは原価をおさえるとか、解説を書くスタッフが少なくなっているとかさまざまな理由から、解説や曲紹介のないぶっきらぼうなものが多く、それを期待して購入する人を落胆させる傾向がある。この盤では手前みそだが私がそのお手伝いをさせてもらった。購入者の希望にそえられたかは別だが、ご覧いただければ幸いと思う。
 またインナー・ノート自身はモノクロだが、フランク永井の健在時の写真や曲のジャケット写真が紹介されている。

 収録曲は下記のとおりである。

  01.東京午前三時/02.夜霧の第二国道/03.羽田発7時50分/04.有楽町で逢いましょう
  05.公園の手品師/06.西銀座駅前/07.こいさんのラブ・コール/08.夜霧に消えたチャコ
  09.東京ナイト・クラブ(松尾和子と)/10.好き好き好き/11.東京カチート/12.君恋し
  13.霧子のタンゴ/14.大阪ぐらし/15.大阪ろまん/16.加茂川ブルース/17.おまえに
  18.(ボーナストラック)六本木ワルツ《※1~13:モノラル、14~18:ステレオ 》

※ムジカインドウダイレクトショップ(http://www.musicaindo.co.jp/7_334.html)