


「データブック」には全データが掲載されているとのことだが、VS-90xxとSV-85xxとかのシリーズは載っていないのだが、という問い合わせがあったのでこのあたりについて触れてみる。
「フランク永井魅惑の低音のすべて」(データブック)は、2010年10月に発行された。データはそれより何年も前から収集準備していたものであるが、掲載に当たってレコード会社から「初リリースされたものすべて」の曲とレコードを、くまなくリスト化したいというものでした。
ソノシート、CD、カセット・テープとDVDや、映像、カラオケ等については、基本的に対象外にした経緯がある。また、ときどき触れているが、海外盤、海賊盤などは載せていない。ご指摘の「VS-90xxとSV-85xx」については、再販ものという扱いで、やはり対象外にしたもの。
だが、この除外したものだけでも相当数になり、それだけでデータブック別版になりそうである。「文四郎日記」では、そのあたりを題材にしながら、可能な限りデータブックの補完をしてきたつもりである。
ソノシートについては、データブックにコラムでリストと写真をあげている。掲載した時点では発行年月が推測したものであったが、その後その情報を確かな根拠で調査したものが発表されていて、記したものと少々異なっていたものが分かった。だが、基本的にそれ以外あらたな情報はない。
CDはレコードの生産中止と前後してCDにメディアが移ったのだが、フランク永井の場合はレコードの廃止と同じくして舞台から降りているので、CDに新たな音源があるということではない。データブックの後半に掲載したリストですべてがクリアしていて、発刊後にでたCDでも新たな曲があるわけではない。
カセット・テープについては「文四郎日記」で取り上げているが、テープ版だけにあったという曲がカバー版であるがあったということ。
DVDは最初にフランク永井のカラオケがでたときに購入している。しかしそのとき所有していたSONYのプレイヤーが間もなく壊れてしまい、数回使っただけである。この後にCDサイズのカラオケDVDがいくつか出ているが、ここにも特に新たしい情報はない。フランク永井の曲のカラオケ用演奏のリストについては、以前取り上げたようにわずか20余曲しかないのが残念である。毎年、大崎市で開かれるフランク永井歌コンクール(今年は、10月に開催予定)では、どうしても演奏の種類の少なさが、さまざまな制限になっているところがあるので、ファンとしては演奏数をぜひとも拡張してほしいものである。
さて「再販盤」であるが、1976年ごろから「アンコール・シリーズ」として、ビクター歌手の人気の曲をシングル・レコード(EP=ドーナツ盤)として出している。SV-3001-Mというように、ステレオのシングルで使用したSVを盤IDのプリフィックスとして利用しながらも、-Mなどというマークを後ろにつけた妙な盤となっている。フランク永井の初期ヒット盤はモノラルであったために、苦肉の作品となっている。これは、手元のレコードを見てみると、フランク永井については9点ほどでたようだ。つまり、表裏で計18曲がアンコール発売されたわけである。
資料は少ないが、1970年代の後半に「ゴールデン・ミリオン・シリーズ」として、SV-35xxが出された。フランク永井の「有楽町で逢いましょう」「君恋し」という2大ヒット曲がカップリング(表裏双方がA面)されている(SV-3506)。これは吉田正編曲のステレオ版。「君恋し」は寺岡真三のステレオ録音盤が使われている。
1980年になると引きついたかたちで、「ゴールデン・ベスト」シリーズとして、SV-75xxが出ている。フランク永井のは、3点、計6曲。そして、1984年レコードの製造中止の最後の追い込み盤「永遠のEP盤」(SV-85xx)シリーズが出された。これはフランク永井については10点20曲がステレオ版でリリースされたのである。
以上が再販盤のほとんどであるが、おまけがる。
それは、1960年代にさかのぼる。1960:SVS-1-好き好き好き/グッド・ナイトというのがある。これは、VS-xxxxシリーズで始まったモノラルのシングル盤からステレオ盤に移行するときのレコード会社の迷いなのか、宣伝したかったのか「ステレオ・シングル・レコード・シリーズ」というのがあった。ステレオ、シングルなので、すーっと、SV-xxだったのだろうが、なぜか並行してSVSというのが立ち上ったのだ。
このSVSは、芸術祭参加作品のレコード盤としても使われた(1963:SVS-29-ねむの木/上総)。だが、芸術祭参加のレコードはこれ以前にPRB-7011-兄弟星がある。プライベート、あるいは宣伝盤ともとれるが、こちらはオリジナル・ジャケットがなく、ナショナル製ステレオ装置に添付用として出されたもの。
沖縄返還があったのは1972年だが、それまでは日本でありながら米国の治領下にあった沖縄県に向けた(と言われるが真実は?)盤があった。それは、1966:VS-9010、1967:VS-9011、1968:VS-9013が手元にある。当時の人気曲のカップリングだ。歴史を感じる。
また、CM用のプライベート盤(例えば、1971:17VP-1089-男のやすらぎ~清酒福久娘の唄(東洋酒造とか)、MV-1005-S-瀬戸内海ブルース(瀬戸内海観光都市連盟推薦)というような団体や組織の要請で出された盤がある。このジャンルについてはメディアはソノシートも多く、フランク永井が関与したものの総体はいまだ不明である。おそらく、リストにあがっていない曲もまだいくつか埋もれているものと思われる。
このあたりの情報についてご存じの方はぜひ教えていただければと思う。
1961 PRB-7011 兄弟星 15芸術祭
1960 SVS-1 好き好き好き/グッド・ナイト ステレオ・シングル・レコード・シリーズ
1963 SVS-29 ねむの木/上総 17芸術祭
1971 17VP-1089 男のやすらぎ清酒福久娘の唄/(演奏のみ) 東洋酒造CMプライベート盤
1985 PRV-11397 城ヶ島の雨/波浮の港 非商用盤
MV-1005-S 瀬戸内海ブルース/夢の瀬戸内海 瀬戸内海観光都市連盟推薦
1966 VS-9010 逢いたくて/東京の人(三浦洸一) 沖縄向け
1967 VS-9011 逢いに来たのに/ハワイの夜(鶴田浩二) 沖縄向け
1968 VS-9013 ふるさとの道/公園の手品師 沖縄向け
1973 PRA-10069 想い出にしないで(鶴田浩二)/お別れしましょう 宣伝用見本盤
1976 SV-3001-M 夜霧の第二国道/羽田発7時50分 アンコール・シリーズ
1976 SV-3002-M 有楽町で逢いましょう/ラブ・レター アンコール・シリーズ
1976 SV-3011-M 俺は淋しいんだ/夜霧の第二国道 アンコール・シリーズ
1976 SV-3013-M こいさんのラブ・コール/逢いたくて アンコール・シリーズ
1976 SV-3021-M 東京午前三時/東京カチート アンコール・シリーズ
1976 SV-3022-M 西銀座駅前/好きすき好き アンコール・シリーズ
1976 SV-3050-M 初恋の詩/わかれ アンコール・シリーズ
SV-3506 有楽町で逢いましょう/君恋し ゴールデン・ミリオン・シリーズ
1980 SV-7508 東京ナイト・クラブ/大阪ぐらし ゴールデン・ベスト
1980 SV-7511 俺は淋しいんだ/君恋し ゴールデン・ベスト
1980 SV-7513 大阪ろまん/加茂川ブルース ゴールデン・ベスト
1984 SV-8501 有楽町で逢いましょう/夜霧の第二国道 永遠のEP盤
1984 SV-8502 おまえに/妻を恋うる唄 永遠のEP盤
1984 SV-8503 君恋し/羽田発7時50分 永遠のEP盤
1984 SV-8504 公園の手品師/こいさんのラブ・コール 永遠のEP盤
1984 SV-8505 霧子のタンゴ/東京カチート 永遠のEP盤
1984 SV-8506 大阪ぐらし/船場ごころ 永遠のEP盤
1984 SV-8507 夜霧に消えたチャコ/俺は淋しいんだ 永遠のEP盤
1984 SV-8508 西銀座駅前/冷たいキッス 永遠のEP盤
1984 SV-8509 東京ナイト・クラブ/ラブ・レター 永遠のEP盤
1984 SV-8510 加茂川ブルース/大阪ろまん 永遠のEP盤