2014年3月アーカイブ

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 「映画NECOチャンネルネコ」というのは、スカパー!、J:COM、CATV、IPTV等で視聴できるということだが、ここではこの4月の「名画theNIPPON」特集として「ALLWAYS三丁目の夕日」三部作を放送するということである。この映画は近作で人気があるのだが、昭和30年代が時代背景としていることにちなんでの連想からか、フランク永井の代表作「有楽町で逢いましょう」の映画が放映される。
 この特集では、1958(S33)~1964(S39)年の間にヒットした歌謡曲の題名をもつ映画が9本連携でとりあげられている。フランク永井「有楽町で逢いましょう」(大映=KADOKAWA:1958)「西銀座駅前」(日活:1958)、島倉千代子「からたち日記」(松竹:1959)、ザ・ピーナッツ「情熱の花」(日活:1960)、橋幸夫「涙にさようならを」(松竹:1965)、石原裕次郎「嵐を呼ぶ男」(日活:1957)、ペギー葉山「南国土佐を後にして」(日活:1958)、都はるみ「アンコ椿は恋の花」(松竹:1965)、岸洋子「夜明けのうた」(日活:1965)、といったところである。
 「ALLWAYS三丁目の夕日」もいいのだが、このラインアップを見ただけで何かワクワクしそうではないか。古い映画はその古さに独特の時代観がある。「...三丁目...」は最近のものだけに実にソツなく完成されているが、当時の映画は今のテレビドラマと比べた方がいいかもしれない。いろいろと突っ込みどころが満載なのだが、今と決定的に違うのは登場人物がたいへんピュアで素朴であったことだ。
 もちろんこの時代にも悪い奴もいたし、ひねくれものもけっこういたのだが、現代とは異なる安心できる人間関係が現れていた。
 似たようなことは日本だけではなく、欧米の映画でもいえる。好きな西部劇でも画面には、素朴で人間味あふれる人びとでいっぱいだった。それが、今は暗部、人間の複雑な部分、裏面をこれでもかと見せつけられ、人間への魅力というよりも計算された別の激しい「感動」を与えている節がある。
 戦争が終わって破壊され尽くした都市、当然心も荒むのだが、それをなぐさめ、いやし、時には奮い立たせてくれたのが、当時の流行歌だ。ヤミ商売が闊歩する、汚く汚れた貧相な街有楽町を、ロマンチックに美しく描き、恋と活気のイメージを全日本にもたらしたのが「有楽町で逢いましょう」だった。
 実際に地方から東京に出てきた多くの若者によって、東京はみるみる間に復興し、粋でお洒落な街にいきおいよく変化していったのだ。
 映画「西銀座駅前」はモノクロだが、「有楽町で逢いましょう」はカラーである。当時まだカラーが実際に使われ始めた時期であった。
 「有楽町で逢いましょう」はぜひともお勧めしたい。環境があるかたはぜいとも観てほしい。見逃せないのは「有楽町で逢いましょう」歌が流れるのは当然としても、後半で特別版の歌詞での歌が聴ける。この特別版はこの映画でしか聴けないのである。
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 「れきおん」をご存じという方はそうとうな専門家といえる。多くの方は初めて聞くと思える。これは、2007(S19)にNHK、日本著作権協会、日本芸能実演家団体協議会、日本伝統文化振興財団、映像産業振興機構、日本レコード協会などが「歴史的音盤アーカイブ推進協議会」(HiRAC)を組織して発表したプロジェクトだ。
 国会図書館に納本されて眠る膨大な各種資料のうちのSP盤の音記録について、内およそ5万枚をデジタル記録し、その一部を公開するというプロジェクトで、愛称として名づけたのが「れきおん」である。
 日本が欧米の先進国にくらべて歴史的・文化遺産の保存と記録に立ち遅れているという指摘がつよくあったのにこたえる形で国の予算をあてて、長期のプロジェクトが実行され、いまも続いている。実際に盤を納本したもとであるビクターやコロンビアなどの技術陣が分担して作業に当たり、1900年初頭から1950年頃までに国内でリリースされたSP盤の音の復元に取り組まれた。
 昨年3月の時点でおよそ39000点の公開が実現している。そのうち著作権の切れたもので貴重と思われる1000余点についてはインターネットで一般公開されている。基本的には国会図書館はもちろんだが、主に全国の図書館関係で視聴設備の整っているところではそれらの音源を聴くことができるようになっている。
 SPレコードといえば、別項で紹介したことがある岡田則夫著『SPレコード蒐集奇談』(ミュージック・マガジン発行)が関係していて、岡田さんは最近大阪会場で「れきおん」の「寄席話芸」について紹介のトークをされているようだ。「SPレコード」誌を発行するアナログ・ルネッサンス・クラブは、国会図書館・歴史的音盤アーカイブ推進協議会が公開している音源全リストを2分冊の冊子にまとめている。
 この「れきおん」がカバーする時期はSP時代の最期までなので、まさにフランク永井のデビューから活躍して名をはせた時期に重なる。データブックを出版する時点で資料不足から不明だった「編曲者」箇所などは、公開されている資料によってほとんどが埋まった。
 フランク永井のSP時代の音源については、89曲すべてそろっているのだが、すべての盤現物が手元にあるわけではないので、可能であれば「レコード・ジャケットあるいは歌詞票」を画像で同時に復刻してほしかった。日本のこうした専門家によるアーカイブ事業には大変感謝するものだが、この付属品に関する情報の軽視は大変残念である。日本のアーカイブ思想のレベルが未だにこの程度なことが、はからずも露呈してしまっている。
 また、まだ最後まで精査しているわけではないが、資料にあたっていて気付いたことがある。1957:V-41666「花摘日記(藤本二三代)・花売り娘とギター弾き(フランク永井)」だが、B面の曲は保存されていない。
 1955:A-520「時計のまわりを踊ろう(羽生奈々子)・恋人よわれに帰れ(フランク永井)」はフランク永井の記念すべきデビュー曲だが、聴いてみたいほうの「時計の...」はない。「恋人よ...」については、フランク永井という歌手名がない。
 1959:V-41924「婿さがし八百八丁・道灌ばやし」(記録なし)、1959:V-41944「さよならアイコさん」(A面なし)という結果だ。
 先のは盤の劣化によるノイズが激しく復元に成功しなかっただけなのか、売れなかったようだからか、B面なので軽視したのかなどとひねくれた推測をしてしまうが、果たして理由は何だったのかは全く不明だ。
 まあそれにしても、これら以外の曲(片面が別の歌手の場合の存在は未調査)はすべて公開されているので、大したことである。
 どの図書館でなら聴けるというのは、国会図書館から公開されているので調べてみれば意外と身近にあるかもしれない。興味のある方はぜひともSP盤からの音を図書館でぜひ聴いてみたらいかがだろうか。
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 廃盤、生産中止タイトルを復刻で広がりをみせているMEG-CDから、3月12日にフランク永井のシングルが新たにCDとなって19枚発売されると公表した。
 このサイトの発売予告では、すでにその盤がジャケット写真とともに発表されている。
 これにより、MEG-CDから復刻リリースされているフランク永井のレコードは百数十枚となる。昨年5月以来で第4次の発売となる。
 数年前になるが、初めてMEG-CDがフランク永井の盤をまとめて出したときに前後して、NHKの朝のニュースでMEG-CDの社長とお会いした様子が放送された縁がある。その際に社長は廃盤レコードの復刻の必要性と意義を熱く語り、精魂こめて実績を作り続けているというお話に、痛く感じ入ったことを覚えている。そして、フランク永井の盤についてもシングルだけではなくLPも含めてぜひとも出していきたいと、おっしゃっていたもので、それがちゃくちゃくと実現していっているものと思える。
 多くの歌手の当時のオリジナルのレコードの復刻というのは、歌手の事務所やレコード会社にしてみると採算等の事情で困難な側面が多いのは分かる。昨今歌謡曲の売り上げはおおきく下がっていて、どこも寒波にあえいでいる。MEG-CDはそうした状況下であっても、リクエストがある熱心なファンの気持ちに応えて、レコード店や契約しているサークルK・サンクス店舗などのルートで注文を受け即生産(店頭で)して渡すというシステムで対応している。MEG-CDはたいへん頑張っておられるのである。
 さて、リリースのフランク永井盤をみてみると、昨年5月の後の時期のものである。
 古くからのファンは御存じの曲もあろうかと思うが、今回のものでは多くは「超レアもの」を多く含んでいるのが特徴ではなかろうか。
 「おきなわ」「坊や」「恋の作・演出」「千花子の手紙」「夜霧に濡れて」などはおそらく中古のレコードでも手に入らないものだ。これらを惜しげもなく千円均一で出してくれたMEG-CDに感謝である。
 また今回は、先に私も東日本大震災の復興ソングの関係で提案して実現された「東北音頭」が盤として含まれている。この盤はA面が立川澄人の「われらのちから」で、東北音頭と同じく、東北の人びとの生きる姿を力強く称えたすばらしい歌である。震災報道でも有名になった仙台に拠点を置く河北新報の二万五千号の発刊記念で読者に呼び掛けて歌詞を募り、吉田正が曲をつけたものである。
 「東北音頭」は復興のさまざなな運動と結びついて、東北地方の各地でフランク永井が歌った曲+当時の振り付けで踊りが復刻している。
 こうした地方に密着した歌といえば「道後の女(ひと)」裏面「でっかい夢」である。これは当時の大規模な橋の建設を称えて地元の観光協会の呼びかけに応じて、フランク永井が歌ったものである。
 1960年代の後半のこの時期のフランク永井の歌は当時は大ヒットになったのは「おまえに」だがそれも、最初のリリースは1966年でA面の「大阪ろまん」ヒットに隠れて売れなかった。売れない時期なのであるが、当時の歌を歌うフランク永井自身の歌唱はすばらしい。
 一曲一曲にたいする深い解釈とあくまで丁寧な歌い方が目立つ。ともかくファンの方は、ぜひともまた聴いてほしい。

 さてさて、他の方からテレビ東京ドラマの「三匹のおっさん」はその後どうなったと聴かれた。今週最終回特番とのことだが、前回にこの記事で触れた後も、期待を裏切ることなくキヨさん、いや北大路欣也は毎回歌った。「西銀座駅前」「こいさんのラブ・コール」そして「君恋し」だ。最終回では、さて、なにを歌って楽しませてくれるのだろうか。

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