「歌伝説~フランク永井の世界」での「公園の手品師」エピソード

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 しばらく「歌伝説~フランク永井の世界」について書いてきたので「公園の手品師」についても記しておきたい。
 「公園の手品師」についてはこの番組では全体をよくまとめられていた。インタビューも含めた取材力もうなずける。
 この曲の作詞は宮川哲夫で、彼のこのについての記録はきわめて少ない。東京三田、東京町田に資料があり、「波浮の港」で有名なその地に生まれた。そのあたりをくまなく取材している。彼の記録については「吉田正」(金子勇著 2010:ミネルヴァ書房)が一番よくまとまっている。
 宮川哲夫はフランク永井に対して、佐伯孝夫に次ぐ多くの詩を提供している。「夜霧の第二国道」「羽田発7時50分」「場末のペット吹き」「夜霧に消えたチャコ」などの大ヒット曲を先頭に60余曲を書いている。その貢献度からしてフランク永井を語るときに忘れてはならない作詞家である。
 「公園の手品師」は番組での紹介があったように、フランク永井がデビューした年(1955年)の日活映画「男性NO.1」で鶴田浩二が歌ったものだ。しかしこのときには何の話題にもならなかったようだ。吉田正はフランク永井に流行歌を歌うようにすすめ、ここでこの名曲をレッスンで徹底的に使ったと思える。翌年11月に大阪のラジオ局(大阪朝日放送)のホームソングで取り上げられた。
 このときの視聴者の反応がすごく、本来は15日の放送が要望が多く1か月の延長で放送した。しかしこれがすぐにレコードになったわけではない。そもそも鶴田の歌った曲でもあったし、ラジオでの先行ということもあり、躊躇していた模様だったが、視聴者からのリクエストを受けてついに、1958年(S33)に「たそがれ酒場」のB面でリリースされた。だが、この時点はタイミングが悪かったからかたいして注目されないままに終わった。
 それにしても「公園の手品師」の曲のシャンソンにつながるような、時代を感じさせない、大きな盛り上がりはないが人の心をひきつけてやまない、いつ聴いてもなごむ曲は、静かに、長くファンを魅了していく。いつまでたっても、忘れられない。リクエストは多くはなくても絶えない。
 そのようなことから、フランク永井は機会があれば歌っている。そして、1978(S53)年に、再吹込みでレコード化する。ちなみに、B面の「夏の終りに」は1966(S41)年に催された歌手生活10周年記念第2回リサイタルでの特集「女の四季」の一曲である。この曲も一度聴いたら視聴者に静かで深い印象を与える名曲であった。
 フランク永井が吹き込み直しというのはそう多いわけではないが、この「公園の手品師」はこうしたさまざまな思い出を長く保持した一つなのである。
 いつ聴いてもフレッシュさを感じるこの「公園の手品師」は、根深いファンが多く、カラオケでも人気のようだ。吉田正が宮川の詩に対しフラットな曲をつけているだけに、歌い手がそれを見事に表現したときに、そのフラットさががぜん活きる。それだけにうまく歌いきるのは歌手の深い詞への理解と歌唱力が問われる。
 近年にフランク永井を「先輩」といって慕っていた三田明がカバーしている。鶴田、三田の歌唱と比較して聴き比べてみるのもおもしろい。二人の個性的な歌もいいが、ファンにはフランク永井の卓越した歌唱が光る。

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このページは、文四郎が2013年8月17日 13:14に書いたブログ記事です。

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