映画「西銀座駅前」とフランク永井

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 日活映画「西銀座駅前」はいうまでものなく、フランク永井の歌「西銀座駅前」のヒットにあやかって作られたものだ。1958年52分のモノクロフィルムである。今だと1時間ものの軽いラブ・コメディといったところだ。 
 この映画は封切当時は覚えてい。フランク永井のデータブックを作っているときに、およそ6~7年前だろうか気になって観てみた。 
 この映画は巨匠今村昌平監督作品でデビューして2作目のものであり、初期作品である「盗まれた欲情」と抱き合わせでDVD発売されたばかりであった。フランク永井がストーリイのナビゲータのような感じでところどころに登場し、歌をうたったりする。出演者が柳沢真一、堀恭子、山岡久乃、西村晃、小沢昭一らで音楽を黛敏郎が担当しているという豪華版だった。 
 今村監督はその後に「にあんちゃん」(59)、「豚と軍艦」(61)、「にっぽん昆虫記」(63)、「赤い殺意」(64)、「神々の深き欲望」(68)「復讐するは我にあり」(78)、「楢山節考」(83)、「うなぎ」(97)といった社会問題をえぐった作品をつくっていくのだが、「西銀座駅前」はさまざまな今村監督のトライを感じる愛嬌作品。 
 今村監督は川島雄三監督の「幕末太陽傳」(57)の脚本を担当している。これも日本映画史に残る傑作である。 
 「西銀座駅前」でのトライというのを感じさせるのは、まずスターティングのタイトル。デジタル時代のはるか前なのに、夜のネオンのもじのようでもあるのだが、文字をドットで時差をつけて表示し左に流れるというのをやっている。 
 またちょっと説明が追いつかないのだが当時売れっ子歌手のフランク永井を唐突に出たりはいったり、いや歌わしたり話をさせたり、あるいは出演者を夢でもないのにワープ?させたりと、そうとう大胆な展開をしている。映画のスポンサーにもなった製薬会社の実名商品がコマーシャルのようにポスターでだが登場する。まあ、最後はそれなりにまとまっていて、そうした手法にも嫌味を残さないように処理されている。 
 フランク永井は1958年に大映映画「有楽町で逢いましょう」で売れたのをきっかけに、この年に「夜霧の第二国道」「羽田発7時50分」「場末のペット吹き」「ロマンス祭り」「夜霧の南京街」「東京午前三時」とこの「西銀座駅前」の7本の映画に出演したり主題歌を歌ったりしている。この年はシングルで新曲を37曲だしている。後年にほんとに寝る暇もなかったほどの多忙とふりかえっている。 
 それにもかかわらず、彼は「西銀座駅前」で若者らしいはつらつとしたセリフ回しをしている。フランク永井が噺家からも絶賛されるほどの語り口と言われたのだが、その片鱗をうかがわせるものとなっている。 
 歌「西銀座駅前」はフランク永井の代表曲のひとつで、佐伯孝夫(詞)吉田正(曲)寺岡真三(編)作品。「ABC.XYZ」を「おいらの口癖さ」などとほとんどありえそうもない詞。それをフランク永井が歌ってしまう。なぜかしら不思議にそれはキマリ、はまっている、という他にはだれにもマネのできそうにないこの4人組の画期的な傑作。この歌を聴くと、聴いた人の耳に残り、いつのまにか「ABC.XYZ」が口癖のように、当時多くのひとのが口ずさんだのだった。
(初:2013年01月27日1744)

いつも、さまざまなフランク永井情報をいただいている、rocky劇場さんから、この映画を見れるようにしていただきました。 

西銀座駅前‐フランク永井Ⅰ
 http://www.youtube.com/watch?v=FEF1qEK1P3k 
西銀座駅前‐フランク永井Ⅱ
 http://www.youtube.com/watch?v=PjyVb9R-x7I

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イイネ!(5人) 
 
コメント
HOJ 2013年01月28日 06:18  
当時、東京にいました
映画「西銀座駅前」は確か渋谷の映画館で見ました。ほか数本・・・
59年の「夜霧に消えたチャコ」も・・・、
映画館はいつも満員でした、懐かしいです

コメント
文四郎 2013年01月29日 09:36  
当時は確かに映画は娯楽の王様のひとつでしたからね。
「夜霧に消えたチャコ」はこれも数年前にDVD化されたときに購入してみた口です。

(初:2013年01月27日1744)

キーワード:フランク永井 映画 西銀座駅前

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このページは、文四郎が2013年2月16日 12:41に書いたブログ記事です。

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